為替レートが2022年1月末「1ドル=115.10円」であったのが、2022年10月末では「1ドル=148.71円」となり、1月末に比べて33円61銭の円安に。さらに2か月後の12月末には「1ドル=131.11円」となり、10月末に比べて17円60銭の円高というように大きく変動しました。為替の変動が大きい近年、「円安・円高」という言葉がますます注目されています。では、円安と円高はどちらが良いのでしょうか?
今回は「円安」のメリットやデメリットなどについて見ていきましょう。100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。
目次
円安と円高、どちらが良い?
円安のメリット
円安のデメリット
まとめ
円安と円高、どちらが良い?
はじめに、円安と円高はどちらが良いのかを考えます。具体的には「1ドル=100円」の時と、「1ドル=150円」の時ではどちらが良いかということを考えてみますが、ここで基本的なことをおさらいしておきましょう。
外国為替は異なる通貨で取引されます。外国の通貨と日本円であれば、外国通貨の価値が上下に値動きすると、相対的に日本円の価値も上下に値動きします。価値が下がる・上がるというのは、他の通貨と相対的に比較することで決まるのです。
<図表1>円安と円高のイメージ
円安とは、円の価値が下がることです。例えば、アメリカのお店に時計を1,000ドルで売ったとします。そして、受け取った代金1,000ドルを日本円に交換すると、
「1ドル=100円」の時なら10万円
「1ドル=150円」の時なら15万円
となります。円安の方が多く日本円に交換できますので、円安の方が良いと言えますね。
一方で、円高とは円の価値が上がることです。例えば、アメリカのお店で時計を1,000ドルで購入する場合、1,000ドル支払うのに必要な資金は、
「1ドル=100円」の時なら10万円
「1ドル=150円」の時なら15万円
となります。円高の方が安く購入することが出来ますので、円高の方が良いと言えます。
このようにどちらにも「良いケース」はあります。円安と円高、それぞれで良いと考えられるケースをまとめてみると次のようになります。
<円安の方が良いケース>
・海外へ輸出する場合
・外貨で資産を保有している場合
<円高の方が良いケース>
・海外から輸入する場合
・海外旅行に行く場合
単純に「円安と円高はどちらが良い?」と聞かれると、答えは「どちらでもない」というのが正解と言えるでしょう。
円安のメリット
ここでは「円安のメリット」について、前項の<円安の方が良いケース>の内容を詳しく見ていきます。
海外へ輸出する場合
企業は海外に製品を輸出して、その代金はドルで受取ります。しかし、日本国内で製品にかかる原材料費や人件費などを支払うためには、代金として受取ったドルを円に交換しなければなりません。円安となることで、より多くの円に交換することができるという点で、円安は海外に輸出する場合のメリットとなります。
企業の売り上げは、円安が進めば進むほど増えることになり、企業の業績にも好影響となり得るでしょう。また、円安になると輸出する製品の価格を安く設定することもできるので、国際競争力も高められる効果が期待できます。
外貨で資産を保有している場合
例えば、米国やEU諸国などの株式や債券を保有している場合、円安が進むと日本円に換算した評価額は高くなります。購入時よりも円安となっている場合は、利回りによる運用益だけではなく、為替差益(為替の変動によって得られる利益)も得られるという点でメリットと言えます。
円安のデメリット
円安と円高は相対的な関係ですので、<円高の方が良いケース>は「円安のデメリット」であると言えます。
海外から輸入する場合
特に輸入を主とした企業では、円安はデメリットとなります。企業は海外の製品を輸入する際に代金を外貨で支払います。そのため日本円を外貨に交換しますので、円安となればなるほど仕入れコストが高くなり、利益が減ってしまうのです。
この記事の冒頭でも述べたように、2022年は急激に円安が進みました。円安は輸入した製品の価格高騰につながります。エネルギー資源や生活必需品である衣服や食料などの多くを輸入に頼っている日本では、様々な品目が値上げされ物価高となり、個人の生活に直接影響を及ぼしていることが問題視されています。これが「悪い円安」と言われるゆえんです。
海外旅行に行く場合
海外旅行では、商品やサービスに対しての代金を現地の通貨で支払います。例えば、アメリカへ旅行に行く場合、旅行の予算を100万円とすると、「1ドル=100円」の時は10,000ドルと交換できます。しかし「1ドル=150円」の時は、約6,666ドルとしか交換できません。
つまり、円安の場合の方が現地で使えるお金が少なくなってしまいます。海外旅行で現地の通貨に交換する際には、円安であればあるほどデメリットであると言えるでしょう。
まとめ
今回は円安と円高はどちらが良いのか、円安のメリットとデメリットについて見てきました。円安と円高は相対的な関係にあるため、立場が違うとメリットにもデメリットにもなり得るのです。現在の物価上昇の原因の一つとして、円安が影響を及ぼしていることは理解しておきましょう。
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●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)
株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
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