世界で最も有名なウサギのひとつといわれているピーターラビット(TM)の物語は、作者のビアトリクス・ポター(TM)が1902年に絵本『ピーターラビットのおはなし』を世に出して以来、世界中で翻訳出版され、現在まで累計約2億5000万部の発行部数を誇ります。
日本でこの物語が初めて紹介されたのは、1906年ですが、今なお愛し続けられている幸せなウサギです。
2022年の今年、出版120周年を記念した展覧会があべのハルカス美術館で開かれています。(9月4日まで)
本展の見どころを主催の朝日新聞社の上手裕紀子さんにうかがいました。
「ピーターラビットの物語は、自分の家庭教師だった人の息子が病気で療養中なことを知り、ビアトリクスが送った一通の絵手紙が原点です。物語の最後、ピーターがベッドに寝かしつけられ、カモミールの煎じ薬を飲まされる場面は、その少年への励ましのメッセージと解釈することができます。有名な場面が、既にたくさん描かれている絵手紙。直筆オリジナルが日本で公開されるのは、この展覧会が初めてです。
自費出版を経て、1902年に『ピーターラビットのおはなし』を商業出版することとなり、ビアトリクスは全ての挿絵を水彩で描きました。用意した挿絵は、採用されなかったり、一部は後年にページごと削除されたりしましたが、出版から100年が経過した2002年以降、ビアトリクスの当初の想いを尊重し、英国版の絵本では全ての挿絵が掲載されるようになりました。日本でも、挿絵全点を掲載した絵本『ピーターラビットのおはなし』を含む全23 巻の新訳版が2022年3月より順次出版されています(早川書房刊)。
本展では、日本初公開の原画を含む彩色画全点を紹介し、作者が当初思い描いた絵本のすがたを展示で再現します(一部再制作された作品を含みます)。ビアトリクスの原画の、細部まで描き込まれた丁寧な描写と美しい色彩に、思わずため息がこぼれます。
貴重な作品を間近でご鑑賞いただけるこの機会、是非あべのハルカス美術館にお越しください」
夏休みの一日、心癒されるウサギたちの世界を楽しみながらお過ごしください。
【開催要項】
出版120周年 ピーターラビット(TM)展
会期:2022年7月2日(土)~9月4日(日)
会場:あべのハルカス美術館
住所:大阪市阿倍野区阿部野橋筋1-1-43 あべのハルカス16階
電話:06・4399・9050
開館時間:火曜日~金曜日10時から20時まで、月・土・日・祝日は18時まで(入館は閉館30分前まで)
休館日:7月4日(月)、7月11日(月)
展覧会公式サイト:https://peter120.exhibit.jp
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照
巡回:静岡市美術館(9月15日~11月6日)
取材・文/池田充枝