字画も少なく、しょっちゅう目にする簡単な漢字。読めそうなのに、いざ声に出して読もうとすると、正しく読めるかどうか心配になって、思わず声を細めてしまう漢字ってありませんか?
サライ世代ともなりますと、いったん思い込み認知をしておりますと、なかなかイニシャライズ(初期化)が難しいですよね。簡単な漢字であっても、脳トレ漢字の動画を見ながら確認学習をしていただくことで、思い込み認知をイニシャライズできる機会になると思います。
「脳トレ漢字」第93回は、「接骨木」をご紹介します。春頃には、白い細かな花をつけるあの庭木です。
また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
「接骨木」はなんと読む?
「接骨木」という漢字、読み方に心当たりはありますか? 骨が接する木とは何でしょうか……
正解は……
「にわとこ」です。
音読みして「せっこつぼく」とも読みます。
『小学館デジタル大辞泉』では、「スイカズラ科の落葉低木。春、白色の小花を咲かせ、実は赤く熟す」と説明されています。春頃から咲く花の、若い枝の先端にまとまってたくさんつく姿が、特徴的です。
また、「接骨木」は、古くから薬用植物として知られてきました。樹皮や枝は入浴剤として、枝葉は煎じてお茶として、花は解熱剤として利用されているのです。こうした風習は日本に限らず、世界各地にあります。
「接骨木」の漢字の由来とは?
「接骨木」を構成する漢字を見ていきましょう。「接骨木」と書く由来は諸説ありますが、この木を煎じたものが骨折の治療に利用されていた、という説が有力です。木や枝を煮詰めてアメ状にしたものが、骨折した患部に湿布として用いられており「骨を接ぐ木」という意味から名付けられました。
他には、節が盛り上がっている木を骨の間接に見立てた、とする説などがあります。
ちなみに、「にわとこ」を「庭常」とする漢字表記もありますが、これは「にわとこ」が庭木として常に植えられたことに由来する当て字だとされています。
「接骨木」の語源は?
では、そもそも「にわとこ」の語源は何なのでしょうか?
こちらも諸説ありますが、古名「ミヤツコギ(造木)」から転訛したもの、というのが一般的です。「造形」などの「造」と書いて「みやつこ」と読むのは難しいですが、『古事記』や『万葉集』にもこの言葉が使われた歌が載っています。というのも「接骨木」の葉は同じ場所から左右に生え、対になっているように見えることから、誰かを迎える心・再会への思いを詠う歌にぴったりだったのです。
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いかがでしたか? 今回の「接骨木」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 4月頃に咲く「接骨木」の花はクリーム色をしており、遠目からもよく目立ちます。由来や語源を知ることで、季節を告げる花をより深く楽しめるのではないでしょうか。
来週もお楽しみに。
文/トヨダリコ(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
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