最近、昔のことをボンヤリと思い浮かべる機会が多くなっています。若い頃にはなかったことであり、少々不思議な感じがしております。
昔のことを振り返るのは、年寄り臭くなった証拠とばかりに、意識して新しい事を始めみたりするのですが…反対に、昔のように付いていけいない自分に気づいてしまい「若い頃は、こんなことはなかったのに…」と余計に老いを感じてしまったりもします。
先日、実に興味深い記事を目にしました。「昔使っていたものや懐かしいものを見ると、生理学的に脳の血流が増える」というもの。「古い物、昔使っていた物にまつわる思い出話をすることが、認知症の予防効果に期待できる」というのであります。
その記事で取り上げられていたのが、名古屋の『昭和日常博物館』(https://www.city.kitanagoya.lg.jp/rekimin/)という施設で、実際に高齢者の認知症予防への取り組みが行われているとのことでした。
この記事が本当だとするならば、昔を思い出し懐かしむことは決して年寄り臭いことではないということになります。さらには、昨今、中高年の間で流行りに流行っている「古いものを処分する活動」は認知症を促進することになるのかも? と心配になった次第です。
何にしましても、この「懐かしき風景」が皆様の「思い出の情景や風景」を呼び起こすことに繋がり、「認知症予防」に如何ばかりかのお役にたてていただければ幸いでございます。
今回、動画の中でご紹介しておりますのは、岡山県津山市に残る小さな駅舎(美作滝尾駅)の風景です。
急激な過疎化が進んでいる地方都市において、鉄道を利用する人も少なくなっており、少々淋しい風景ではありますが、きっと、皆様の懐かしい風景と重ね合わせていただけるのではないでしょうか?
『男はつらいよ』の映画撮影場所と使用され・登録鉄道文化財に選定されている駅
急速な過疎化によって、その存続が危ぶまれている日本各地のローカル線。
岡山県の中央部に在る東津山駅から鳥取駅を結ぶ因美線は、全長約70KmのJR西日本管轄のローカル線の一つです。かつては、中国山地を縦断して山陰へ至る因美線は、津山線とともに山陽と山陰とを結ぶ、重要な交通路線として活躍した時代もありました。
しかし、今やその役目を高速道路などに奪われ利用者は減り続けているようで、ここにも過疎化の波が押し寄せていることを実感させられます。この因美線の特徴の一つが、今では懐かしい木造駅舎が多く残っていること。
今回「懐かしき風景」としてご紹介する美作滝尾駅の駅舎は、昭和3年(1928)に建てられたもので登録鉄道文化財(貴重な鉄道文化遺産として、良好な状態で保全管理することを目的に、平成20年からJR西日本が指定している事物のこと)にも選定されています。
そして、この駅を全国的に有名にしたのは、山田洋次監督の映画『男はつらいよ』シリーズ第48作『寅次郎紅の花』の撮影場所になったことからです。それも『寅次郎紅の花』は、渥美清さんの最後の主演作品となったこともあり、鉄道ファンのみならず、全国の渥美清・寅さんファンの方々がこの駅を訪れるそうです。
また、春と秋には「みまさかスローライフ列車」なるものが運行され、その時には、この美作滝尾駅にかつての賑わいが戻るそうです。この駅の風景は、鉄道ファン、サライ世代の人たちにとっては、きっとかけがえのない故郷のような場所なのでしょうね。この駅に居る間中、不思議なくらいに心が和み、穏やかな気持ちになりました。
ここ数年、古い友人に会い昔を懐かしく語り合うことが容易にできなくなっています。心の平穏や余裕を失いかけていらっしゃるなら、是非とも機会をつくり、この駅を訪れてみてはいかがでしょうか。きっと、脳の血流が何倍にも増え、認知症予防効果が期待できると思いますよ。
アクセス情報
所在地:岡山県津山市堀坂
鉄 道:JR西日本・因美線 美作滝尾駅
自動車:中国自動車道 津山ICより約10分
取材・動画・撮影/貝阿彌俊彦(京都メディアライン)
ナレーション/敬太郎
協力/津山市役所産業文化部観光振興課
京都メディアライン:https://kyotomedialine.com
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