とにかくカッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落込む、急に顔が熱くなる、汗が止まらない、どうしてこんなに頭が痛いの? など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、自分ではどうにもならない不調が現れるもの。
実は、その不調には漢方がよく効くことをご存知でしたか?
私の不調にも漢方が効くのか知りたい! どうすれば根本解消できるの? そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。
第54回のテーマは、「胃もたれ」です。医師の木村眞樹子さんに教えてもらいました。
1.好きなものが食べられず人生の楽しみが消えてしまった!
金子さん 52歳女性 主婦の方からご質問を頂きました。
「1年ほど前から、胃もたれに悩まされています。もともと私は、食べることが大好きでした。通販でお取り寄せしたり、友人と食べ歩きしたり、料理もスイーツもこよなく愛しています。しかし、最近では量をたくさん食べているわけではないのに胃がもたれてしまいます。
おいしそうなものが目の前にあるのに、からだが受け付けない悲しさったらありません。食欲がないだけならまだしも、少し食べるとおなかが張って苦しく、夜中に胃がムカムカして起きることもあります。先日はついに嘔吐まで……。
胃腸薬を飲んでもあまり効果を感じられず、このままおいしく楽しい食事とは縁遠い生活をするのかと思うと、人生の楽しみを半分失った気分でつらいです」
ご質問ありがとうございます。金子さんがおっしゃるように、胃もたれは、食べすぎたつもりがなくてももたれてしまったり、食事そのものが楽しめなかったりと、つらいことが多いですよね。
実は、その胃もたれの原因は更年期の可能性があります。どうして胃もたれが起きるのか、そして簡単にできる対処法もご紹介していきます。
2.胃もたれの原因は更年期の女性ホルモン低下!
50歳前後の更年期と呼ばれる時期は、からだに様々な変化が訪れます。その代表的な変化が女性ホルモンの変動です。
エストロゲンという女性ホルモンの分泌が減ると、自律神経に乱れが生じ、唾液量が低下します。消化を助けるアミラーゼという酵素も減少し、質や量ともに唾液が減ると、消化力が下がり胃もたれが起きてしまいます。
また、精神的なストレスも胃に負担をかける原因になります。50歳前後の年齢は、子どもの自立、夫の定年退職、親の介護などライフイベントが豊富にあります。日々を乗り越えるだけでも十分にストレスがかかり、それが自律神経の不調にもつながってしまいます。
ただ、長期間にわたって続く胃の不調や違和感の場合、ヘリコバクター・ピロリ菌による胃炎や、胃がんなどが原因の場合もあるので、おかしいと思ったら病院へ行き専門医に診てもらいましょう。
3.更年期の胃もたれを解消する3つの方法
更年期の不調の治療法のひとつに、ホルモン補充療法があります。これは、不足しているエストロゲンを薬で補い、ホルモンバランスの乱れを和らげていく方法です。 効果はありますが、同時に副作用などのリスクもありますので、通院して治療する必要があります。
ホルモン療法は怖いという方や、通院する時間がないという方には、漢方の考え方によるアプローチがおすすめです。
3-1.食生活を改善する
腹八分目を常に意識し、消化によい温かいものを食べましょう。
高い抗酸化作用を持つトマトは消化力を助けてくれる働きもあり、最適な食材です。
また、大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモンに似た働きをするため、更年期の女性にとくに摂ってほしい食物です。
そして、食物繊維が豊富で腸内の善玉菌を増やすきのこ類もおすすめです。
逆に、インスタント食品やお菓子などはあまり食べすぎないようにしましょう。
血糖値の乱高下は自律神経にとってもよくありません。また、肉類や揚げ物など、消化に時間がかかるものも胃に負担をかけます。
そして、お酒好きな方は飲み過ぎないように注意しましょう。とくに空腹時のお酒は胃粘膜にとって刺激が強すぎるため避けたほうがいいでしょう。
3-2.適度な運動を行う
運動不足は胃の機能を低下させます。なるべく習慣的にウォーキングやジョギングなど、激しすぎない程度に運動を行うとよいでしょう。また、家で気軽にできるヨガやピラティスも自分のペースでゆっくり行えるのでおすすめです。
腹筋や背筋を鍛えると、消化不良を改善し、内臓機能を高めることができます。運動自体がストレス解消にもなり、胃の負担を軽減します。
3-3.漢方薬で胃もたれを解消する
「西洋薬は副作用が心配」「一度飲み始めたらやめられないのではないかと不安」
そんな方には胃もたれ、胃痛、胃が弱いなどの症状に医療現場でも使われている漢方薬がおすすめです。
漢方薬は自然にある植物や鉱物などの「生薬」を組み合わせて作られているため、 一般的に西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。
また漢方薬が目指すのは苦痛を和らげるための対症療法ではなく、根本的な解決です。体質の改善に働きかけることのできる漢方薬は、「同じ症状を繰り返したくない」という思いに応えてくれます。
「バランスの取れた食事や運動などを毎日続けるのは苦手」という方も、症状や体質に合った漢方薬を毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できます。
胃もたれに悩む女性におすすめの漢方薬をご紹介します。
<胃もたれに悩む女性におすすめの漢方薬>
六君子湯(りっくんしとう):体力が中程度以下の方に使われる漢方薬です。胃もたれや冷え性、胃痛、消化不良の改善に用いられます。
安中散(あんちゅうさん):体力が低下した方向けの漢方薬です。胃もたれ、食欲不振、慢性胃炎などに用いられます。
ただし、漢方薬を選ぶ際には自分の体質に合ったものを選ぶ事が大切です。体質に合っていない場合は、効果が出ないだけでなく、副作用がおきることもあります。購入時には、できる限り漢方に精通した医師、薬剤師等にご相談ください。
お手頃価格で不調を改善したい、という方には医薬品の漢方がおすすめ。スマホで気軽に専門家に相談できる「あんしん漢方」のような新しいサービスも登場しています。AI(人工知能)を活用し、漢方のプロが効く漢方を見極めて自宅に郵送してくれる「オンライン個別相談」が話題です。
4.セルフケアや漢方薬で胃もたれを解消しよう!
楽しい食事も、胃もたれの悩みを抱えているだけで憂鬱なものになってしまいます。
更年期の胃もたれの解消には、まずは食生活の改善や運動習慣を気をつけてみましょう。また、専門家に相談のうえ漢方薬を使用してみるのもおすすめです。
今回ご紹介したセルフケアや漢方薬を参考にして、つらい胃もたれの症状から開放されましょう!
<この記事を書いた人>
医師 木村 眞樹子
医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事。妊娠、出産を経て、産業医としても活動するなかで、病気にならない身体をつくること、予防医学、未病に関心がうまれ、東洋医学の勉強を始める。臨床の場でも東洋医学を取り入れることで、治療の幅が広がることを感じ、西洋薬のメリットを活かしつつ漢方の処方も行う。また、医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行なっている。
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