年齢を重ねると誰でも、自動車の運転パフォーマンスは落ちます。しかし、自分自身の運転パフォーマンスの低下を自覚することは難しいのかもしれません。例え、自分では「まだまだ運転に自信がある」という方も、家族や周りの意見に耳を傾けることはとても大切です。
そこで、アクティブシニアのライフサポートを行う株式会社ユメコム代表の橋本珠美が、運転免許証の自主返納制度について詳しく解説いたします。ご家族やご自身の幸せなシニアライフのためにもお役立ていただけると幸いです。
目次
自己コントロールチェックリスト
運転免許証の「自主返納制度」とは?
免許証の返納は本人以外にもできる?
「限定条件付免許」とは?
免許証返納の特典・メリットは?
まとめ
自己コントロールチェックリスト
「自分は危険な運転操作なんてしない」と思っていても、日常の運転操作が実は「危険な運転」だったということもあります。まずは、下記の項目をチェックしてみてください。多く当てはまる人は要注意です。
やってみよう! 「運転時認知障害早期発見チェックリスト30」
警視庁(https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/)より引用
□ 車のキーや免許証などを探し回ることがある。
□ 今までできていたカーステレオやカーナビの操作ができなくなった。
□ トリップメーターの戻し方や時計の合わせ方がわからなくなった。
□ 機器や装置(アクセル、ブレーキ、ウィンカーなど)の名前を思い出せないことがある。
□ 道路標識の意味が思い出せないことがある。
□ スーパーなどの駐車場で自分の車を停めた位置がわからなくなることがある。
□ 何度も行っている場所への道順がすぐに思い出せないことがある。
□ 運転している途中で行き先を忘れてしまったことがある。
□ 良く通る道なのに曲がる場所を間違えることがある。
□ 車で出かけたのに他の交通手段で帰ってきたことがある。
□ 運転中にバックミラー(ルーム、サイド)をあまり見なくなった。
□ アクセルとブレーキを間違えることがある。
□ 曲がる際にウインカーを出し忘れることがある。
□ 反対車線を走ってしまった(走りそうになった)。
□ 右折時に対向車の速度と距離の感覚がつかみにくくなった。
□ 気がつくと自分が先頭を走っていて、後ろに車列が連なっていることがよくある。
□ 車間距離を一定に保つことが苦手になった。
□ 高速道路を利用することが怖く(苦手に)なった。
□ 合流が怖く(苦手に)なった。
□ 車庫入れで壁やフェンスに車体をこすることが増えた。
□ 駐車場所のラインや、枠内に合わせて車を停めることが難しくなった。
□ 日時を間違えて目的地に行くことが多くなった。
□ 急発進や急ブレーキ、急ハンドルなど、運転が荒くなった(と言われるようになった)。
□ 交差点での右左折時に歩行者や自転車が急に現れて驚くことが多くなった。
□ 運転している時にミスをしたり危険な目にあったりすると頭の中が真っ白になる。
□ 好きだったドライブに行く回数が減った。
□ 同乗者と会話しながらの運転がしづらくなった。
□ 以前ほど車の汚れが気にならず、あまり洗車をしなくなった。
□ 運転自体に興味がなくなった。
□ 運転すると妙に疲れるようになった。
いかがでしたか? 30問のうち5問以上にチェックが入った方は要注意です。今回は問題なかった方も、1年に1度はチェックするようにしましょう。
運転免許証の「自主返納制度」とは?
自動車の運転をやめる場合は、本人の申請により運転免許を取り消し、運転免許証を返納することができます。
「運転経歴証明書」とは?
運転免許証を本人確認用書類として使用したい場合、運転免許証の返納後5年以内に申請すると、「運転経歴証明書」の交付を受けることができます。
自主返納の際に必要なもの
・運転免許証
・印鑑
運転経歴証明書の発行に必要なもの
・交付手数料 1,100円
・写真(縦3cm×横2.4cm)※警察の窓口での申請時に必要
免許証の返納は本人以外にもできる?
申請者本人が、窓口に来庁できないやむを得ない事情があり、さらに申請時に電話等により申請者本人の意思確認ができる場合に限り、代理人による運転免許の取消し申請(自主返納)ができます。
やむを得ない事情とは、申請者ご本人が、病気等で入院中、施設等に入所中、あるいは自宅療養中で、窓口に来庁することができない場合等です。
▷代理人申請ができない場合
- 運転免許証を紛失している方
- 運転免許証が汚損等により、内容の一部が判読できない場合
- 運転免許の一部取消し申請をする方
※本人が申請する場合と同様に運転免許証の有効期限が満了している方、運転免許の住所地が変更されている方も申請できません。
▷代理人申請できる人
- 親族(原則として3親等以内の親族)
- 申請者本人が入院中の病院職員等
- 申請者本人が入所中の介護施設職員等
- 成年後見人等
※詳細については、お住まいの各都道府県の警察又は都道府県のウェブサイトをご覧ください。
「限定条件付免許」とは?
今、「限定条件付免許」について議論されています。「最高速度制限」「車両の制限(安全サポート車など)」「地域の制限」「時間の制限」など、特に高齢運転者の事故防止のために条件を付けた免許証のことです(あくまで議論中)。
免許証返納の特典・メリットは?
各自治体では、高齢ドライバーが免許証返納時から一定の期間、様々な特典が用意されています。移動手段である公共交通機関やタクシーの割引制度のほか、自治体独自の特典もあります。
例えば、
・スーパーでの買い物の配達料無料
・人間ドック費用の割引
・ホテル宿泊費の割引
・飲食店でのワンドリンクサービスなど
お住まいの地域でどんな特典が受けられるか確認をしてみましょう。
まとめ
60歳を超えると自動車の運転パフォーマンスが落ちます。もちろんそれには個人差はありますが、高齢になるほど、若い時の運転技術との差は大きくなります。日々進化している自動車の先進技術も完璧とは言えないでしょう。
事故を起こした際の責任はドライバーにあります。自動車の運転をするときは決して油断することなく、「事故を起こさない、もらわない安全運転」を心がけてください。
さらに、ご自身はもちろん、周りのご家族も、「車を運転し続けるのか」ということを定期的に話し合うことも必要かもしれません。周りへの気遣いを忘れないようにしましょう。
構成・編集/末原美裕・内藤知夏(京都メディアライン・http://kyotomedialine.com)
●取材協力/橋本 珠美(はしもと たまみ)
2001年4月、株式会社ユメコムを起ち上げ、介護・福祉の法人マーケットを中心に、誰もが高齢社会を安心して過ごすためのコンサルティングを始める。
また「高齢者と高齢者を抱える現役世代」のための相談窓口「シニアサポートデスク」「ワーク&ケアヘルプライン」を運営し、高齢者やそのご家族の幅広いお悩み(介護・相続・すまいなど)にお応えしている。
相談窓口の事例と自身の経験(ダブルケア)を取り入れたセミナー活動は好評を得ている。
株式会社ユメコム(https://www.yumecom.com)