JR福井駅から車で約40分、日本海にほど近い浜別所町に福井洋傘はある。もともと農家だった橋本平吉氏が昭和22年、農作業ができない冬の副業に大手傘メーカーの下請けとして創業。高い技術力で評価を得ていたが、安価な海外生産品の台頭やビニール傘の普及によって注文が途絶え、廃業寸前に。事態を憂慮した息子の橋本肇氏が、勤めていた地元テレビ局関連会社を辞めて会社を継ぐ道を選び、“持てる技術を注ぎ込んだ最高の一本を作ろう”と奮闘。すると品質の高さが評判を呼び、現在は高級傘メーカーとして全国に名を知られるまでに復活した。
そんな同社の代名詞ともいえる傘が「ヌレンザ」だ。福井弁で“濡れない”という意味の商品名のとおり、雨が降っても生地の表面で水が玉のように転がり落ち、ひと振りしただけでサラリと乾く。“傘の水滴で服や靴が濡れて困る”という、福井の商工会議所主催の「苦情・クレーム博覧会」に寄せられた声から生まれた品である。
「従来の傘のように防水、撥水加工で生地をコーティングするのではなく、水をはじく高密度ポリエステル素材を福井の繊維メーカーとともに開発したことで抜群の撥水性を実現しました」と、営業部の南谷賢志氏。好みの色を手にすれば、雨の日さえ楽しめる傘だ。
【今日の逸品】
濡れない傘 ヌレンザ
福井洋傘
38,500円(消費税込み)