取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。
今回お話を伺った、澪さん(仮名・36歳)は、30歳のときに授かり婚をして、現在は大阪府内で3人暮らしをしています。実は澪さんは離婚したいと1年以上前から考えています。しかし、離婚に至っていない理由に、夫婦関係に干渉する義母、それに従い続ける夫の存在をあげます。
「夫とは結婚して、子どもが生まれてからすぐに仲が険悪になり、ずっとその状態が続いています。私だけでなく、夫自身も我慢の限界で離婚したいと言ってくるのに、マザコン夫は母親の言うことを聞き続けているのです」
家族仲は良好。結婚後も逃げ場所として実家の存在は大きかった
澪さんは鳥取県出身で、両親と3歳下に弟、5歳下に妹のいる5人家族。自身のことを典型的なお姉さんタイプだと言います。
「私の家は観光業をやっていて、休日などが書き入れ時です。なので、小さい頃は祖母が手伝いに来てくれていましたが、大きくなってからは私が弟や妹の面倒を見ていました。弟とは異性の姉弟ぐらいの距離感はあるんですが、妹とは小さい頃からずっと仲良しです。今では友人のような関係ですが、小さい頃はよく私に懐いてくれていました。私も母親のような気分で接していたので、大人になってまさか妹のほうが先に結婚して、先に子どもを産むなんて思ってもいませんでした(苦笑)。今は子育てについてアドバイスをもらっている立場です」
家族仲も良好で、コロナ禍前は子どもを連れて長期帰省をしていたこともあったそうですが、今はかなわず。それが余計にストレスをためてしまう結果になっているようです。
「実家は唯一の安らげる場所でした。長距離ですが車で帰れないわけでないので、大きな夫婦ゲンカがあるといつもお世話になっていました。私が暮らすのは東大阪市で繁華街ではないので、そこに比べたら感染者が少ないんですが、まったくいないわけでもないので、今は帰省を我慢しています。母親とはよく電話していますが、やっぱり直接会うのとは違いますね」
【つわりのしんどさを救ってくれた義両親。子どもができたときも一番喜んでくれた。次ページに続きます】