昨今「老害」なる造語が、巷を席捲しておるようでございます。「老害」の意とするところは兎にも角にも、「老害」と揶揄されるような年寄りにはなりたくないと思っておられる方は多いことと存じます。
一方で、気が付いたら、いつの間にか「サライ世代」と呼ばれる年齢になっていて、これまで懸命に生きて来て、思ったこと、感じたことを素直に口にしたら、何故か「老害」と揶揄されていた。何てこともあるかもしれません。
いずれにしましても、「いやはや世知辛い(せちがらい)窮屈な世の中になったものだ」と、今の世の中を憂う呟きが聞こえてきそうな感じもいたします。さりとて、遠い昔を懐かしみ過去を生きるわけには参りません。
私たちサライ世代、如何に老いさらばえようとも、人生100年時代を颯爽と有意義に生きて行きたいものです。そんな気持ちを込めてサライ世代へ「心磨く名言」を贈りたいと存じます。
「心磨く名言」第二回目は、幕末に長州藩の尊王攘夷の志士として活躍した、高杉晋作(たかすぎ しんさく)の名言を、取り上げてみました。
彼の人生、男も惚れる格好いい生き方であったとか… 。かの伊藤博文は、彼の事を「動けば雷電の如く、発すれば風雨の如し。衆目駭然、敢て正視する者なし」と評したと伝えられています。そんな男、高杉晋作が残した名言となれば、是非とも心に留め置きたいところでございます。
ところで、今の時代、昭和を生き抜いてきた方々にとって、面白く住みやすい社会なのでしょうか? テレビやインターネットから流れてくる、事件や出来事を見る限り、けっして心穏やに安心して生活ができる社会とは言えないように思えます。そして、突然のコロナ禍。気軽に何処かへ旅行することも、食事へ行こうとも儘ならぬ世の中になってしまいました。
そんなご時世で、おいそれと友人や知人と会って楽しく語らうことさえできない状況で、心は塞がるばかりです。いつしか、人生100年時代と言われる様になっていながら、人生の“楽しみ”というものを、ことごとく奪われてしまったかのような気分になります。
そんな気分になった時、今回ご紹介する高杉晋作の言葉は、少し晴れやかな気持ちにしてくれるのではないでしょうか? 是非、噛みしめてみていただきたい。
■高杉晋作の人生
高杉晋作は幕末に長州藩の尊王攘夷の志士として活躍した人物です。吉田松陰の私塾「松下村塾」で学び、大きな影響を受けました。
海外視察後、倒幕の実現に力を入れた高杉は藩の正規兵ではなく志願者を募って“奇兵隊”を結成。西洋式の軍隊を整え、倒幕戦争の力としました。しかし、幕府軍を次々と打ち破り、いよいよ幕府打倒が実現しようとする直前、彼は肺結核に倒れてしまいます。
今回取り上げた名言は、そんな死の直前に残した辞世の句です。明治維新の目前の4月14日、29歳という若さでこの世を去りました。その後、江戸では大政奉還が行われ、新政府が誕生。明治という新しい時代が幕を開けたのです。
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「サライ世代」が、高杉晋作のように、格好良く、心軽やかに颯爽と生きるには何が必要なのでしょうか? 様々意見はおありでしょうが、先ずは、心を穏やかにして、余裕を持つことが大切ではないのかと思いますが、皆さんは如何思われますか?
コロナ禍や、世相を騒がす様々な事件や出来事を目の当たりにしますと、なかなか「心穏やか」というわけにはまいらないでしょう。しかし、物事の見方や捉え方によって、人の気持ちは随分と変わることを、高杉晋作の言葉は教えてくれているように思います。
高杉晋作肖像画/もぱ
文・構成・アニメーション/貝阿彌俊彦・豊田莉子(京都メディアライン)
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