江戸時代より染め物の地として栄え、染色関連の町工場が点在する京都。本品は、その地でジーンズなどを染めるインディゴ藍を用い、「抜染」という古くからの技法で染め抜いた日常づかいののれんである。抜染の工程は職人の手作業。藍色に染めた生地に絵柄が彫られた型をあて、上から脱色作用のある抜染のりを置いていくと、のりが付いた部分だけ藍色が抜けて柄が浮かび上がる。その後、洗いにかけ絵柄を整えながら皺を伸ばし、裁断・縫製を経て完成する。作業は代々分業化され、それぞれの役割を担う職人たちの繋がりでひとつの製品ができあがるのだ。
「藍染めは使い込むと味わい深くなります。ひょうたんは無病息災などの言い伝えがある縁起のよい柄。飽きがこず長く愛される絵柄です。のれんは一度使うとよさがわかってもらえる。気に入っていただけることが何よりの喜びです」と語るのは、企画・デザインを手がける「宇野」の田上敬三氏。
日よけや間仕切りなどの実用性より、壁に掛けるなどの装飾性で繰り返し購入するファンも多いという。部屋の和洋を問わず自然に馴染み、存在感を発揮する魅力的なのれんである。
【今日の逸品】
藍染のれん
万葉舎
14,850円(消費税込み)