取材・文/ふじのあやこ
離婚、再婚などで複雑化する家族関係。血縁のない家族(義家族)との関係で生じる問題、そして新たに生まれたものを、当人にインタビューして、当時感じた素直な気持ちを掘り下げます。(~その1~はコチラ)
今回お話を伺った佳菜子さん(仮名・38歳)は、32歳の時に就職先が入るビルの同じフロアにある別会社に勤めていた男性と知り合い、結婚。現在は都内で2歳になるお子さんとの3人暮らしをしています。長い同棲から旦那さまが結婚へ踏み切ったきっかけは子どもが欲しかったから。佳菜子さんももちろん子どもを望んでいました。
「同棲が長くなるほどに結婚へのきっかけは見つからなくなる。子どもは一般論として欲しいのかを聞いたら夫は『欲しい』とハッキリ言って、『じゃあ結婚して子どもを作ろっか』というのがプロポーズになりました。全然ロマンチックじゃないけど、結婚しないままズルズルいきそうだったので、結婚できるだけで嬉しかったんです」
妊娠に「なんとかなる」と言っただけの夫。自身の努力での妊娠まで3年を要した
結婚式はお互いの意向で簡単な写真を撮ったのみ。家もそのまま、佳菜子さんも仕事を続けていたこともあり、同棲生活と特に変化したものはなかったそう。お互いの仕事の忙しさから妊活も思うように進まなかったと言います。
「妊娠に向けて基礎体温を記録していたぐらいで特に大それたことはしておらず、年齢も32とまだ若いと思っていたから自然に妊娠できるものだと思っていました。今まで婦人科の検査で引っかかったこともなかったし。でも、お互いのタイミングが合わないなどもあって、なかなか妊娠しなくて。私は焦っていくのに、夫は『なんとかなるよ』と楽観的。私が子どもができた時のために貯金をしていこうと言っても、『できてから考えればいい』と。あまりにも結婚前後に生活の変化がなくて、結婚は苗字が変わっただけという感覚しかありませんでしたね」
妊娠したのは3年後。その時には佳菜子さんは同じ会社で正社員から時短勤務の契約社員に雇用形態を変えており、妊活に真剣に挑んだ結果でした。そこから生活はガラッと変わります。
「今まで義両親と4人で車で行ける温泉などによく旅行に出かけていたんですが、それが中止になりました。夫は運転が趣味だったものの私たちの家には車がなかったので、義実家にある車を使わせてもらって2人でよく出かけていたから、旅行はそのお礼もかねていたんです。車使うだけ使って一緒にまったく出かけないのも申し訳なかったから。
旅行の中止は義母からの提案でした。義母も夫を授かるまで不妊に悩み、何度か流産を経験しているみたいで、とても私の体を気遣ってくれて。本当にありがたかったです」
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