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神代の昔、天照大神(アマテラスオオミカミ)がお治めになったという高天原(たかまがはら)。ある時、弟神である須佐之男命(スサノオノミコト)が田んぼの畔を壊したり、機屋に皮をはいだ馬を落としたりと、乱暴をはたらいた。天照大神がいくらたしなめられても、須佐之男命の狼藉はひどくなるばかり。

とうとう、天照大神はお怒りになり、天岩戸(あまのいわと)に隠れてしまわれた。すると、高天原も葦原中国(あしはらのなかつくに)も、すべて闇に包まれてしまったのだった――。

今回は、この「天岩戸神話」が残る、宮崎県高千穂町にある天岩戸神社を訪ねた。

■天照大神がお隠れになった天岩戸を遥拝

まずは、天岩戸を祀る西本宮へ。境内に入って右手には、ご神木「招霊の木」がある。この木の下で、天岩戸に隠れた天照大神を誘い出すために踊った天宇受売命(アメノウズメノミコト)がこの枝を手に持っていたとされる。

モクレン科の木で、春先には小さな花が咲き、秋には赤い実がなるという。

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正面には拝殿がある。ご神体は岩戸川を挟んで対岸にある天岩戸の洞窟だ。通常は目にすることができないが、社務所で申し込めば拝殿の奥にある天岩戸遥拝所まで案内してもらえる。

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遥拝所の対岸にはうっそうと木々が茂る。山全体が神域のため、樹木は太古の昔より手つかずのままだという。木々の中にくぼみがあり、その奥が天岩戸だということだった。

■神々が集まり、神議りを行った天安河原宮

西本宮を出て徒歩10分ほど、岩戸川沿いに河原を下りたところに天安河原宮がある。こちらは、お隠れになった天照大神になんとか出てきていただこうと、神々がお集まりになってご相談をされた場所とされている。

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河原の一角には、仰慕窟(ぎょうぼがいわや)といわれる洞窟があり、その奥に社が祀られている。御祀神は思金神(おもいかねのかみ)と八百万神(やおよろずのかみ)だ。思金神は知恵者として知られ、天照大神に出てきていただくための策を提案した神である。

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小雨が降っていたせいか、苔のむす森に囲まれた河原には霧が立ち込め神秘的な雰囲気に。肌にまとわりつくようなじっとりとした暑さを感じながら、古代日本の原風景に思いを馳せる。

■天照大神が岩屋を出た後、最初に住まわれた東本宮

最後に向かったのは西本宮の対岸にある東本宮。西本宮、天安河原宮と離れた場所にあるためか人影はまばらだ。

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木々が多い茂る石段を上って拝殿へ。こちらは、天照大神が天岩戸からお出ましになられた後、最初にお休みになられた場所だと言われている。御祭神はもちろん天照大神だ。

拝殿右奥に行くとご神木があり、ご神木の根元から湧水が出ていた。真夏の高千穂を汗だくで歩き回り、最後に訪れた東本宮で思いがけず出合ったご神水。口に含むと、木の香りとほのかな甘さが感じられて、なんともいえず清々しい気分になった。

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【天岩戸神社】
住所/宮崎県西臼杵郡高千穂町岩戸1073番地1
TEL/0982-74-8239
社務所/8:30~17:00
http://amanoiwato-jinja.jp/

※参考:『古事記』(著・梅原猛/学研M文庫)

取材・文/小野寺佑子

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