世界の旅トレンドは「サステイナブル・トラベル」!

地球環境を保全しつつ持続が可能な産業や開発を表す、“サステイナブル”。世界の旅行者の72%が「次世代のために地球を守るには、今すぐ行動しサステイナブルな選択を行う必要がある」と答えています。宿泊予約サイトのブッキング・ドットコム・ジャパン株式会社が「サステイナブル・トラベル」(旅行先の環境やコミュニティに配慮した旅行)について調査をしています。18歳以上で昨年1回以上旅行をし、今年の旅行に関して少なくとも1回以上決定をした主要な人物またはその決定に関与した人物を対象に世界18の市場で合計1万8,077名(内訳:ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、日本、メキシコ、オランダ、韓国、スペイン、台湾、アメリカ、イギリス、からそれぞれ1,000名以上、イスラエルから883名)にアンケートが行われました。世界の旅のトレンドはどうなっているのか、次世代の旅の楽しみを見ていきましょう。

世界の旅のキーワードは「サステイナブル」! 一方日本は……?

上記で、世界の旅行者のおよそ4分の3(72%)がサステイナブルな選択が必要と回答しているとお伝えしました。一方、日本ではサステイナブルな選択の必要性を感じているのは半数以下の40%という結果が出ています。また、世界的な結果では年代ごとの違いはあまり出てこなかったのですが、日本では年代ごとに意識の差がありました。国内では46~55歳(74%)、次いでミレニアル世代(71%)がサステイナブルな意識が高いという結果が出ています。

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が2018年に発表した特別報告書(https://www.ipcc.ch/sr15/)では、「地球温暖化を産業革命前の+1.51度に食い止めるためにはあと10年足らずしか猶予がなく、この温暖化レベルを超えると洪水や干ばつ、酷暑のリスクが大きく上昇してしまう」と、地球の危機的な状況が示されています。全世界の旅行者の意識が上がり、サステイナブルな旅行を選んでいく一方、日本人はその意識が他国に比べるとまだまだ低い傾向にあるようですね。

世界的にエコな宿泊施設の人気が上昇中!

世界的に「よりサステイナブルな選択をしたい」という考えの広がりにあわせて宿泊施設もサステイナブルな宿に注目が集まっています。この先一年の間に「エコな宿泊施設、または“グリーン”な宿泊施設に1回以上滞在する予定である」と答えた旅行者は、全体の73%にのぼりました。毎年行われているこの調査の変遷を見ると、2016年には62%、2017年は65%、2018年では68%というように4年連続で伸びています。この高まりは日本でも同様です。

ただサステイナブルな旅への意識は高いものの、宿の見分け方は難しいものがあり、旅行者の約4分の3(72%)が「宿泊施設のエコラベル(地球環境の保全に役立つと認定された商品につけるマーク)の存在を知らない」と回答しています。日本ではそれを上回る84%が知らないと回答しており、エコな宿泊への認知度の低さがあらわれました。

世界の旅行者の37%は「エコな宿泊施設の国際基準を知ることにより自分はよりサステイナブルな旅行をするようになるだろう」と答え、さらに62%の人は「宿泊施設がエコラベルを取得済みであることを知っていれば、その施設に滞在することに満足感を感じられるだろう」と回答しています。

世界のトレンドとして、部屋の様子や料理だけでなく、これからはエコかどうかも宿を選ぶ重要な条件となっていきそうですね。

環境に配慮した宿泊施設のエコラベルであるグリーンキー。 1994年にデンマークで始まって以来、徐々にひろがりをみせ、現在40の国と地域において約2,000の施設が本認証を取得しています。

環境に配慮した宿泊施設のエコラベルであるグリーンキー。
1994年にデンマークで始まって以来、徐々にひろがりをみせ、現在40の国と地域において約2,000の施設が本認証を取得しています。

サステイナブルな旅行を行う上で今必要なのは“知識”!

環境に対する想いがあっても、旅行においてエコに配慮するのはそう簡単ではないかもしれません。

サステイナブルな旅行を行う

旅行者の約半数(世界:46%、日本:43%)は、「日常生活よりも旅行中の方がサステイナブルな選択を行うことを難しく感じる」と回答しています。また、世界の旅行者の約3分の1(31%)、日本の旅行者の34%にとって「旅行は特別な時間であり、サステイナビリティについては考えたくない時間である」という結果も出てきました。さらに、「予定があるため、選べるサステイナブルな選択肢に限りがある」と回答した日本の旅行者は約半数(49%)と、他の条件に比べるとサステイナブルな選択の優先順位はまだまだ低いことがわかります。

一方で、旅行者は旅行会社には果たすべき重要な役割があると考えているようで「旅行会社はよりサステイナブルな旅行の選択肢を消費者に提供すべきである」と答えた旅行者は、全体の71%にのぼりました。

個人でサステイナブルな旅を計画するのは難しいけれど、旅行会社には今後、サステイナブルな旅の提案が望まれているのかもしれないですね。

旅行先でのサステイナブルな過ごし方とは?

旅行先での過ごし方について、世界の旅行者の52%が「サステイナビリティを高めるために旅行中の行動を変え、可能な限り徒歩や自転車の利用、ハイキングを行うようになった」と答えています。加えて、世界の旅行者の68%が「旅行中に使ったお金を現地コミュニティに還元してほしい」と回答しており、「旅行中は現地の文化を代表するような本格的な体験をしたい」と72%もの人が答えています。また、世界の旅行者の41%は、「旅行中によりサステイナブルな行動をとるためのアドバイスを旅行会社から得たい」と積極的です。また半数以上の人は(56%)、「滞在する宿泊施設のカーボン・フットプリント(※)を相殺できる方法があるなら実行したい」と考えていることがわかりました。
旅行先でのサステイナブルな過ごし方

インバウンドの増加もあり、世界の人たちの旅風景に出会うことが国内にいても増えてきました。今後の日本でも意識の高い人から、旅でもサステイナブルな選択をすることが増えていくでしょう。次世代につながる新しい旅を楽しんでいきたいですね。

(※カーボン・フットプリント:個人の生活や企業の生産活動に伴って発生する温室効果ガスを、二酸化炭素に置き換えた場合の排出量の総量。この数値が大きいほど、環境に与える負荷が大きい。(デジタル大辞泉より))

 

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