日本の民宿を想像していたら…
リリーさん一家の経営する民宿にたどり着いたのは、夜もだいぶ更けてから。台湾にはたくさんの民宿があり、自宅の使っていない部屋を改装したり、友達と共同出資して新たに建てたりと様々な形態があるそうです。
リリーさんは「白石さんが泊まる部屋は、昔、カラオケルームにしていた部屋です」と言うので、こじんまりとした6畳くらいの部屋を想像していたのですが、案内されてびっくり! 広いリビングの壁一面に日本の城と桜が! ……と思ったら壁ではなく襖で、開けるとベッドルームが現れました。
なぜ、日本の城と桜を壁紙にしたのか謎ですが、この大胆な設計が個人経営の民宿らしいと感心しました。
個性の強い台湾の民宿
部屋は全部で6部屋。大きさによって値段が変わりますが、ひと部屋をふたりで使った場合、ひとり一泊6千円から1万2千円程度なので、一般的なホテルよりも広い部屋に安く泊まることができます。
それにしても、なぜリリーさん一家は民宿経営を始めたのでしょう。リリーさんのご両親によると、自宅を民宿に改装したのは18年前。羅東でお祭りがあり、ホテルの予約がいっぱいで宿泊先がなく困っていた人に、部屋を貸したことがきっかけ。ちょうどそのとき、台北で勉強するため家を離れていた娘のリリーさんや、すでに独立した息子たちの部屋が空いていたのです。
「うちでも民宿ができるんじゃないかと。子どもたちが家を離れて最初はさみしかったのですが、たくさんのお客さんがきてくれて交流できるので、さみしくなくなりました」と笑うリリーさんのお母さん。
一方、お父さんは無類の旅好きで、しょっちゅう日本も旅しているそうです。「日本のお城と桜が大好きで、あなたのお部屋は和をテーマに改装したんですよ!」とおっしゃる通り、確かに日本への愛がビシビシと伝わってくるお部屋です。
「まあ飲んで」とビールを注いでくれる、お酒好きのお父さん。夕食はついていないはずなのですが、お客さんが集まると宴会になることもよくあるそうです。今夜も「羅東にようこそ!」と宴を開いてくれました。