紅葉前線の便りが北から南へ、そして高所から低所へと聞こえてくるようになりました。それとともに温泉が恋しくなる季節になりますね。今回から5回にわたって、冬に訪れたいおすすめの温泉を紹介します。冬ならではの絶景や、冬限定のお楽しみがある温泉ばかりです。
長野県北西部、北アルプスの雄大な自然に囲まれる白馬村。冬は、世界的にも知られる良質の雪を求めて、国内外から多くのスキーやスノーボード客が訪れます。
そんな白馬には、アルカリ性単純温泉の白馬八方温泉をはじめ、泉質が異なる5か所の温泉が湧いています。そのひとつ、白馬姫川温泉「天神の湯」(白馬ハイランドホテル内)は、唯一、JR大糸線の東側に位置します。
泉質は塩化物泉で、疲労回復などに効能があり、よく温まりさらりとしたお湯が特徴です。天神の湯の露天風呂から望む白馬連峰の眺望は、白馬随一と謳われる絶景。北は栂池高原から南は五竜岳に至るまで、北アルプス後立山連峰(うしろたてやまれんぽう)の壮観な山々が雪化粧し、凛とした冷たい空気が心地よい緊張感を与えてくれます。冷えた体を湯船に沈めれば湯の温もりが体中を駆け巡り、温泉の恵みに感謝せずにはいられなくなります。冬だからこそ楽しめる、至福のひとときが過ごせます。
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。