■ペナンの伝統料理教室は体力勝負!
料理の材料を買い終えたら、ナズリナさんのスタジオへとテクテク戻ります。ナズリナさんはイギリスに留学し工学を学び、地元のペナン島でエンジニアとして働いていていましたが、子育てがひと段落したとき、なかなか再就職が決まらなかったそうです。それならばと一大決心して、得意な料理の腕を生かし料理研究家としてデビュー。
自炊していた留学生時代も専業主婦の間もただ家事をこなすのではなく、熱心に料理を研究していたそうです。私が主婦だったら、留学で覚えた英語も忘れ、三食昼寝付きとゴロゴロしそうなものですが、さすが理系のお母さん、何でも研究し、しっかり仕事に結び付けて起業なんてかっこいいですね。
さて、これから作るのは、チャークイティオ(米麺の焼ききしめん)、チキン・レンダン(チキンのカレー煮込み)、ニョニャライス(スパイシーなご飯)の3つ。ずらりと並んだ調味料をひとつひとつ説明するナズリナさんはレトルトも化学調味料も使いません。まず最初に、レンダンに使うカレーパウダーやコリアンダー、クミンやフェンネルなどのスパイスを石臼に入れ、ゴリゴリとすって滑らかにしていきます。
「ああ手が疲れた~、先生、そろそろいいでしょうか?」
「まだまだ! ねっとりするまでです!」
優雅なニョニャ・マダムのお料理体験だと思っていたのに、かなりの力仕事です。汗を拭き拭き黙々とすっていたら、今度はニョニャライスに使う玉ねぎやレモングラス、黒糖の入った石臼を「次はこれ」と渡されました。どうやら腕が太くなって帰国できそうです。