■あまりにも正直すぎる画家?!

今度はお見合い椅子の奥にある部屋に入ってみましょう。立派な肖像画がかかっています。どちらも中華風の衣装に身を包んでいますが、右はこの家の主人、そして左はマレー人の奥さんでしょうか? いいえ、この左の女性は中国にいる第一夫人なのです。

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つまりこの家の奥さんは二番目の妻。何も第二夫人の家に第一夫人の肖像画を掲げなくても…と首を傾げていると、書さんが「ほら、奥さんの顔、怒っているでしょう」と指を指します。本当だ、とても怖い顔をしています。

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これを描いた画家は、モデルの奥さんを前にさぞハラハラしたしたことでしょう。もうひとつ、別の夫婦の肖像画を見つけました。

「書さん、これは誰ですか?」
「主人の両親です。おばあさんの顔、ちょっと変でしょう?」

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んん? なるほど、近づいてみると、目がうつろです。眠いわけではありません。この家にも「アヘンを吸うための部屋」があったのですが、当時は娯楽として気軽に吸引していたようです。「おばあさんはアヘンのやりすぎです」と書さんは眉毛をひそめますが、肖像画を引き受けた画家は、何もそのまま描かなくてもいいのに、どうにも正直すぎると思いました。

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これでもか、これでもかとばかりに贅沢な部屋を、見続けているとお金には縁のない私はだんだん疲れてきました。一番、ほっとできるのが素朴な台所。これだけ大きい家ですから、使用人もたくさんいたことでしょう。

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一通り見終わって中庭に戻ってくると、売店のおばあさんが、優雅にベンチに腰掛けています。隣に私も座らせてもらうと、一瞬、昔にタイムスリップしたかのような感覚に陥ります。なぜ、ベンチにジャズメンのような人形が座っているのか分かりませんが、もしかしたら当時、世界中からさまざまな国の人がこの家に訪れていたのかもしれません。

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