《7日目》秋田 14:17 ~ ウェスパ椿山 16:22
秋田駅の2番線から乗車するのは、観光用の臨時快速列車『リゾートしらかみ』の「くまげら」編成。14:17分、定時発車した。
ウイーク・デイのせいかガラガラな列車は、やがて東能代駅に到着。ここでスイッチバックし、五能線に入るのであるが、停車時間を利用して「下車印」貰いに改札の外へ。ちょっとした「御朱印巡り」の気分である。
再び車内へ。景色がいいと腹も減る。秋田駅で買った駅弁「こだわり鶏めし」を開く。鶏ガラで炊いた米と照り焼きがマッチしてます。ジュンサイが付いてるのも秋田らしい。
15:42に「あきた白神駅」に到着。乗ってる人がほとんどいないので、降りる人もなし。でも観光駅長さんは、きちんと出迎えに来てくれていた。
列車は海岸沿いを北へとひた走る。そろそろ高度を下げてきた太陽が、車内に光を打ち付ける。相変わらず雲はない。ただちょっと水平線にモヤが出てきたみたい。
空からの光と、海からの光が混じって、車内は光の海になっていた。
そして、まだ日の高い16:10分、ウェスパ椿山駅に到着。列車はこのまま弘前・青森へ向かってゆくが、今日はここで宿をとることにする。ホームに降り立ち、乗ってきた「くまげら」編成を見送る。
この駅は地元の三セクが運営しているリゾート施設や、周辺の温泉への送迎バス発着所となっている。駅前の売店でソフトクリームを購入。青森名産のトウモロコシを使った「嶽きみソフトクリーム」300円。夏空の下でいただきます。
そうこうしているうちに、先ほどの「くまげら」編成と、深浦駅ですれ違ったはずの秋田行き「リゾートしらかみ」が、「くまげら」編成で戻ってきた。「車両の調子が悪いので、秋田に戻って整備をするそう」なので、お互いのお客さんは、深浦駅でここまで乗ってきた列車を降りて、すれ違うはずの列車に列車に乗り換え。
再びここに戻ってきた「くまげら」編成は、リゾート施設を楽しんだ客を乗せて秋田へと戻っていった。
歩いて海岸沿いの宿に到着。夕陽の下の海岸線には露天風呂。全ての部屋がマリンビュー・サンセットビューという温泉ホテルだ。部屋の窓からは、日本海に沈む夕陽を堪能できた。
残念ながら、水平線に雲が出て、期待した「グリーンフラッシュ」の奇跡は起きなかったが、それでも空と雲とがいいグラデーションを見せてくれた
夕陽を眺めながら、窓辺で缶ビール! 最高の気分である。
ただしこのスケジュール変更のツケで、明日は再び6時起床となる。次なる目的地は木古内。いよいよ青函トンネルを越えて、ラストステージの北海道へと渡ることになる。
【実録「青春18きっぷ」で行ける日本縦断列車旅】
※ 1日目《枕崎駅~熊本駅》
※ 2日目《熊本駅~宮島口駅》
※ 3日目《宮島口駅~名古屋駅》
※ 4日目《名古屋駅〜戸狩野沢駅》
※ 5日目《戸狩野沢温泉駅~只見駅》
※ 6日目《只見駅~鶴岡駅》
※ 7日目《鶴岡駅~ウェスパ椿山駅》
※8日目《ウェスパ椿山駅~函館駅》
※9日目《函館駅~旭川駅》
文・写真/川井聡
昭和34年、大阪府生まれ。鉄道カメラマン。鉄道はただ「撮る」ものではなく「乗って撮る」ものであると、人との出会いや旅をテーマにした作品を発表している。著書に『汽車旅』シリーズ(昭文社など)ほか多数。