落語界きっての鞄好き噺家と熟練の鞄職人が満を持して作り上げた江戸前の粋な鞄
機能性に富んだ鞄作りが信条
昭和58年に創業し、東京・葛飾区を拠点にバッグやベルト、革小物などを手がけてきた鞄メーカー・アド。そのオリジナルブランドとして、平成23年に立ち上がったのがフルクリップだ。鞄はデザインを先行して作ることが多いのだが、フルクリップでは機能面の考察から製作を始め、使いやすさを肝とした鞄作りを行なっている。
「愛着を持って長く使ってもらうために、目的・用途・機能に合った最適な素材を選び、使い勝手のよい丈夫な鞄を目指しています。デザインは飽きのこないシンプルさを大切にしています」と笑顔で話すのは、フルクリップ代表の平垣 亨氏である。
今回は無類の鞄好きという落語家の林家彦いち氏とタッグを組み、荷物をコンパクトにまとめる男性好みの鞄を仕立てた。必要なものをちょいと着物の袖に入れておく、そんなイメージで作った袖形の粋な鞄は、素材・サイズ・使いやすさなど、彦いち氏のこだわりが随所にちりばめられている。
イメージを具現化する高い技術力
「話し合いを重ねては、何度もサンプルを作り、イメージを形にしていきました。最終段階では、彦いちさんに工房まで足を運んでもらい、ショルダーやループの長さをミリ単位で調整しながら、最後は鞄をその場で縫い上げました」と、平垣氏。
そうして仕上がった待望の鞄が、おしゃれなデニム地のサコッシュだ。裏地に樹脂加工を施して強度も抜群。単行本やiPadを入れたいという彦いち氏の願いを叶え、小さすぎず、大きすぎない、絶妙なサイズ感を実現した。
「彦いちさん一番のこだわりは、扇子用ポケットです。どこに付けようかとても悩みましたが、裏面の隠しポケットとして忍ばせることで、遊び心のある作りにしました」(平垣氏)
特許技術と強靭な素材選びが魅力
フルクリップの技術で忘れてならないのが、特許を持つ「ジェットグライド」だ。鞄を肩にかけたまま、ショルダーベルトの長さを自在に伸縮できる仕組みである。使い方は簡単で、ショルダーベルトに付いているハンドルを下に引っ張るだけ。体型に関係なく体に鞄をフィットさせたり、ファッションや状況に応じて長さ調節が可能だ。
また、細部にまで行き届いた素材選びにも注目したい。ファスナーとファスナーテープは、世の中にあまり出回っていないベージュカラーを取り寄せ、ファスナーの紐付き取っ手は、アメリカ軍がパラシュートコードとして採用する100kgの重さに耐えられる超頑丈な特殊紐を使用している。お出かけの相棒にふさわしい、男前な鞄である。
【今日の逸品】
落語家・林家彦いちの袖形かばん
『大人の逸品』×フルクリップ
8,138円(消費税8%込み)