萬古焼の老舗窯元・藤総製陶所が13年ほど前から急須を作り始めたのは、代表の藤井健司氏の「おいしいお茶を飲みたい」との思いに端を発する。
「高級茶葉でお茶を淹れても、廉価な茶葉と同じ味しか出ない急須もあります。日本茶ソムリエの先生に師事してお茶を深く学んだ私は、道具のプロとして、茶葉を活かす急須を作ろうと決心しました」(藤井氏)
まず、茶葉をよく開かせるために金網などは使用せず、茶葉が開く広い空間を確保。お湯を注いだときに茶葉がうまく対流するよう、本体はふっくらと丸みのある形状に仕上げた。内側はガラス質に加工されており、茶葉本来のストレートな味を楽しめる。さらに茶渋が付きにくいため、洗うときのストレスともおさらばだ。
注ぎ口近くにある100個ほどの茶漉し穴は、職人が手作業で空けたもの。上部にあることで、沈んだ茶葉が穴を塞ぎにくく注ぎやすい仕組みだ。また、V字形の注ぎ口は水切れがよく、下に沈んだ濃厚な旨みまで搾りやすく、茶葉が蒸れず2煎目の味も落ちない。ほとんどの茶葉がおいしく淹れられる、魔法のような急須なのだ。
【今日の逸品】
絞り出し・至高急須
藤総製陶所
4,869円~(消費税8%込み)