江戸時代から明治にかけて、輸出用食器として好評を博した「卵殻手」と呼ばれる磁器があった。その名のとおり、卵の殻のように薄くて軽い器である。
その幻ともいえる器を現代によみがえらせたのが、有田焼の「やま平窯」だ。業務用食器を中心に培ったその技術力は国内外の日本料理店の評価も高く、多彩な器作りを手がける窯元である。
「海外に新しい感動を届けたい想いで、100年前に途絶えた技法の探究に取り組みました。照明器具に使用していた透光性のある陶土を独自に改良し、釉薬をかけずに焼成することで、透き通るほど薄い純白の器を生み出すことに成功したのです」と語るのは、代表取締役の山本博文さん。
職人が何度も磨き上げることでなめらかな手触りに仕上がり、光にかざすと飲み物の色や気泡までほのかに透けて見える。
「飲むことに適した器の条件は薄さと軽さです。分厚いものだと飲み物と口の間に段差ができて味わいが変わってしまいます。その点、この『エッグシェル』は厚さ1mm以下。口当たりがよく、味覚だけに集中できるので、飲み物本来のおいしさをストレートに楽しんでいただけます」(山本さん)
今回は5種類の器をご用意。日本酒、ビール、お茶など飲み物に合わせて器を替えて楽しみたい。
【今日の逸品】
色が透過するうすはり有田焼「エッグシェル」
やま平窯
3,520円~(消費税込み)