翡翠は古来、厄除けや祈願の宝石として珍重されてきた。国内で原石が広く産出されることや、縄文時代から装飾品として用いられていたことから、平成28年に日本の「国石」にも選定されている。「原石には個性があって、それを見極めながら削り出していくのです」と語るのは、60余年という歳月を石加工に捧げてきた、熟練職人の野木秋光氏。宝石加工業の盛んな甲府市に工房を構える名工だ。
ブレスレットに使用される翡翠(硬玉)は、新潟県糸魚川市を流れる姫川の支流、小滝川周辺で採取されたもの。天然記念物に指定されており、今では採取が禁止のため、工房にあるストックを使っている。製作は野木氏が原石からひと玉ずつ丁寧に削り出す。
「加工する原石は、色のよし悪し、傷がないか、加工しやすいかを見定めて選びます。そして、断面の細かな傷や亀裂・変色を避けながら石を切り出すことで、美しい玉に仕上がるのです」(野木氏)
野木氏は自作の工具を使い、ミリ単位で加工を施す。また、艶を出すための研磨も重要だ。バレル研磨機に金剛砂を使用した研磨剤を入れて玉の角を取り、磨き上げる。研磨剤の量は野木氏の体に染み込んだ感覚が頼りである。
自然界が生んだ深緑の色を帯びた美しい宝石は、お守りや大切な人へのプレゼントにもおすすめだ。
【今日の逸品】
厳選 糸魚川産翡翠ブレスレット
ジェイ・エス・アイ
32,780円~(消費税込み)