角館・伝四郎の樺細工の輪筒

左から輪筒2色 菓子入れ、輪筒3色 茶筒

樺細工の産地、角館。時代を見据えるプロたちの審美眼が、伝統と革新が融合した現代の逸品を生み出す。

今の暮らしに寄り添う新しい形を模索

江戸時代末期の武家屋敷や民家が多く残る秋田県仙北市角館町は、一部が国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されるなど、その風情ある街並みから「みちのくの小京都」と称される。この町で240年以上前より受け継がれてきた樺細工は、角館でのみ作られている伝統的工芸品だ。

樺とは、山桜の樹皮を指す。強靭かつしなやかで抗菌・防湿効果もあるため、もともとは印籠や喫煙具に使われていた。桜皮(樺)を用いて独自の技法により作られる樺細工は、武士の手内職として奨励されたのが始まりで、藩主の保護のもと地場産業へと発展した。創成期には産地全体で200人ほどの職人がいたが、現在はその数も50人程度になり、希少価値は高まる一方である。

嘉永4(1851)年に角館で創業した「藤木伝四郎商店」は、県内で初めて樺細工の自社工場を設立した会社だ。以前は産地問屋を営んでいたが、工場設立後は自社製品に注力し、現在はおもに樺細工の日用品を手がけている。同社7代目の三沢知子氏は、これまでの軌跡を次のように振り返る。

「かつては昔ながらの民芸調デザインが好評でしたが、時代が進むにつれて、現代の暮らしに馴染みにくくなりました。これからもふだん使いしやすいよう、現代的な茶筒を作りたい。そう考えていたときにデザイナーの山田佳一朗さんと出会い、彼の協力を得て完成させたのがこの『輪筒』です」

洗練されたモダンな意匠 熟練の技が宿る

桜やかえでを組み合わせることで桜皮の豊かな表情を引き立てた本品は、従来の樺細工には見られないモダンな意匠が好評だ。その随所に職人の高度な技が光る。

桜皮は独特の色艶が美しい素材だが、もととなる原皮は灰褐色でざらざらとした質感である。それを2年ほどかけて十分に乾燥させ、製品に合わせて裁断。さらに一枚ずつ手作業で削りと磨きを繰り返すことによって、赤茶色の美しい桜皮に生まれ変わる。

筒状にする工程は、円柱の木型に膠を塗った経木と桜皮を巻き付け、高温の金鏝で貼り合わせる「型もの」という技法で行なう。鏝を熱しすぎると桜皮が焦げてしまうため、熱した金鏝を水に浸けて70~80℃に調節してから、皺にならないよう慎重に押し当てながら貼り合わせていく。

「樺細工は基本的に1本の木型から作って気密性を高めますが、本品の場合は材質ごとに作った外筒を輪切りにし、組み替えて内筒にかぶせます。木の厚みが異なる材質を合わせて作るので、その調整には高度な技術が必要。職人たちが時間をかけて寸分違わぬ厚みにそろえ、従来の製品と遜色ない気密性を実現しています」(三沢氏)

上質な作りに海外も熱視線 経年変化も愉しみのひとつ

茶筒は桜皮、かえで、桜の3色、菓子入れは桜皮と桜の2色で、内側にも桜皮を使用。2009年からはフランスでの国際見本市に出展し、海外からも注目されている。

「桜皮は使い続けることでさらに艶を増します。抗菌・防湿作用は衰えないので、世代を超えてお使いいただけます」と三沢氏。

光沢のある赤茶色はモダンな印象で、現代のインテリアに取り入れても違和感なし。お気に入りの茶葉や菓子の保管に役立てつつ、桜皮をより艶やかに育てたい。

角館・伝四郎の樺細工の輪筒

写真=輪筒3色 茶筒
茶筒には内蓋が付く。内蓋は内筒をカットして作られているため、隙間なくぴったりと収まり、高い密閉性を発揮する。

【今日の逸品】
角館・伝四郎の樺細工の輪筒

藤木伝四郎商店
6,050円~(消費税込み)

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