塩分の取り過ぎが健康を阻害する、ということはよく知られています。血圧を上昇させ、肝疾患、心疾患、不整脈などの原因となるからです。
海に面さず、長い冬には漬け物をはじめとした保存食に頼る生活をしてきた長野県は、この塩分摂取量が全国2位。実際、40年前には、全国でも有数の短命県だったといいます。
この長野県が、今や長寿ランキングで男女ともに全国1位。塩分摂取量は高いのに、どうしてなのでしょうか。
長野県の長寿の秘訣はどこにあるのか、実際に訪れて調べてみると、ポイントは3つありました。
ひとつめは、「野菜摂取量が多い」こと。野菜に含まれる食物繊維やカリウムが、塩分の排出を促すとされるのです。
ふたつめは、「生きがいのある生活」を送っていること。長野県は高齢者の就業率が全国1位。農業などの従事者は、高齢になっても仕事を続けることができることも一因です。また、公民館と立ち寄り温泉の数も全国最多。公民館の寄り合いなどで地域のつながりを保ちながら、温泉で体と心の疲れをとる。生涯現役の気概で暮らす年配者が多いのです。
三つ目は、「適度な運動」をしていること。山脈とその間に点在する盆地で構成される長野の地理。山裾で暮らす人々は、日常的に斜面の昇降を繰り返すことになります。これが、適度な運動となり、老化を遅らせていると考えられています。
さて、これら三つの秘訣は、信州で生活していないできないものでは、決してありません。どんな地域に住んでいても、これら3つの秘訣を実践すれば、より健康になれるはずです。
特集「長寿日本一の国 信州を歩く」が掲載された『サライ』9月号。詳しくは、書店などで手にとってお確かめください。