文/小坂眞吾(サライ編集長)
木曽川の上流部に位置する旧加子母村、現在の岐阜県中津川市加子母地区に、築125年を迎える芝居小屋『かしも明治座』がある。明治時代、地元の人々が私財を持ち寄り、力を合わせて作った娯楽施設だ。
古典落語にもたびたび登場するが、地域の素人連中による歌舞伎上演は、今より遙かにエンターテインメントの少なかった時代の、人々の大きな楽しみだった。
ここ加子母地区でもそれは同じで、回り舞台、花道、緞帳まですべて、地元の人々が自らの手で作り上げたものだ。
先年亡くなった十八代目中村勘三郎がここで襲名披露を行ったのが縁で、子息の中村七之助が名誉館主を務めている。
この山奥の芝居小屋を偶然見つけたのが、一般社団法人日本文化推進企画代表理事の美濃部由紀子さん。落語界の昭和の名人のひとり、十代目金原亭馬生の次女にあたる。
もっと書くと、古今亭志ん生の孫、古今亭志ん朝の姪、女優・池波志乃の妹、中尾彬の義妹、ということになるのだが、彼女がこの芝居小屋に惚れ込み、企画したのが「鹿芝居」だ。
鹿芝居とは、落語家がにわか役者となって演じる歌舞伎のことで、「はなしか」の芝居だから「鹿芝居」という。ふだん端正な高座で魅了する噺家たちが、白塗りでハメを外して楽しませてくれる、肩の凝らないエンターテインメントだ。
『かしも明治座』125周年の鹿芝居は、9月23日を開催日として、現在、クラウドファンディングで協賛者を募っている。締切は6月28日午後11時。目標金額に届かなければ開催は叶わない。
我こそは!と思う方はぜひ、下記リンク先で詳しい企画内容をお読み下さい。
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岐阜県の歴史的芝居小屋「かしも明治座」125周年記念鹿芝居応援プロジェクト
https://readyfor.jp/projects/shikashibai