文/小坂眞吾(サライ編集長)
『サライ』2019年1月号に掲載された特別企画「美食紀行 マカオ」が、マカオ政府観光局主催「メディア・アワーズ2018」の雑誌部門を受賞しました。
マカオは日本の戦国時代、16世紀後半に、ポルトガルの東方進出の橋頭堡として開かれ、フランシスコ・ザビエルやルイス・フロイスら、日本にゆかりの深い宣教師もみな、マカオから来日しています。遠藤周作『沈黙』の主人公の宣教師も、マカオから日本に密入国する設定になっています。17世紀には明国から正式に、マカオへのポルトガル人居留が認められ、以後1999年の中国返還まで、ポルトガルの統治下で発展しました。
特筆すべきはその食文化。本国・ポルトガルと中国・広東の料理をベースに、ポルトガルが大航海時代に拠点としたアフリカ、インド、マラッカなどの食材とスパイスが混交。マカオが面する南シナ海のエビ・カニ・鮮魚を素材に、世界に類を見ないフュージョン料理が生まれました。その希少性と歴史が評価され、中国でも3例目となるユネスコの「食文化創造都市」に選ばれたのです。
かたや日本で「食文化創造都市」に選ばれたのは唯一、山形県の鶴岡市。その立役者は、鶴岡と庄内地方の食材をこよなく愛する『アル・ケッチァーノ』オーナーシェフの奥田政行さん。『サライ』と奥田シェフの20年越しの永いお付き合いもあって、本企画では奥田シェフに、マカオへ旅していただき、食文化創造都市同士で交流していただきました。その模様をレポートした本誌2019年1月号の記事「美食紀行 マカオ」が、「メディア・アワーズ2018」雑誌部門に選ばれたのです。
→マカオ美味紀行|東西文明の出合いが生んだ比類なき味覚を旅する
私はスケジュールが合わず、奥田シェフの取材には同行できませんでしたが、別件で3泊4日、初めてのマカオを旅してきました。
→サライ編集長が行ってみた!マカオ歴史&美味紀行【前編】
→サライ編集長が行ってみた!マカオ歴史&美味紀行【後編】
ポルトガル時代の教会や遺跡、江戸幕府の禁教令から逃れた人々が作った日本人街の痕跡、マカオの家庭料理、そして何より、どこを切り取っても絵になるフォトジェニックな街並み。一度きりでは全然物足りません。何度でも行きたくなる街、それがマカオです。
今年も機会があれば、また遊びに行きたいですね。
文/小坂眞吾(サライ編集長)