未だ収束の兆しも見えない新型コロナウイルス感染の拡大。ビジネスゲーム研修を中心とした研修内製化教材(パッケージ)の提供を行う、カレイドソリューションズ株式会社(https://www.kaleidosolutions.com/)では、企業の人材開発担当者を中心とした、新型コロナウイルスの新入社員研修に与える影響についての追跡調査アンケートを行いました。
調査結果の集計・分析結果を以下、報告します。
・入社式の実施方法はほぼ決定、ウェブで短時間化もしくは人数を分散する傾向
・新入社員研修期間は40%弱が短縮へ
・集合研修には人数制限あり。60%強の企業が研修の人数制限を実施
・講義型研修はオンライン化進む
・体験型研修は30%弱が取り止め、代替手段少なく現時点でも15%弱が検討中
【調査概要】
調査対象:人材育成担当者
回答数:53社(54名)
調査方法:インターネット調査(無記名・記名任意)
調査期間:2020年3月24日13:00より3月25日21:00
入社式の実施方法はほぼ決定、ウェブで短時間化もしくは人数を分散する傾向
全体としては、「これまで通り実施」が33.3%、「時間を短縮する」が27.8%となりました。また、その他ほぼ同程度で上から「拠点単位で分ける」「取り止め」「ウェブセミナー(集合)」「ウェブセミナー(在宅)」「延期」「同じ会場で小集団に分ける」が並びました。
ウェブセミナーなどにした結果、「時間を短縮する」が選ばれたものと推察され、各社さまざまなやり方で実施を模索しています。「延期」と「取り止め」はその他の項目と排他的な項目なので合算して考えると、27.8%となりました。
ただし、「これまで通り」と「取り止め」の2つの選択肢は採用人数規模ごとにみて有意な差がありました。採用人数が増えるほど「これまで通り」実施する企業は減少し、対照的に「取り止め」る企業が増加しています。
まず、採用人数10名以下では「これまで通り」を選択した企業が69.2%だったのに対し、11‐30名では41.7%、100名以下では25%、100名を超える場合は「これまで通り」を選択した企業はありませんでした。一方、採用人数10名以下の企業では7.7%ほどしか選ばれていない「取り止め」という選択肢は、100名を超える企業では30.8%ほど選ばれています。
このことから、採用規模が大きくなるほど入社式について何らかの変更を余儀なくされ、その主な選択肢の一つとして、取り止めが選択されていることが伺えます。
新入社員研修期間は40%弱が短縮へ
前回の調査から、研修の取り止めなどを行う企業が複数存在することが分かったため、研修期間への影響がないかを新たに調査しました。
全体の傾向として「これまで通り」とした会社は56.6%、「これまでより短くする」とした会社は39.6%でした。「これまでより長くする」とした会社もわずかにありました。
採用人数ごとに詳細に見ると、「これまでよりも長くする」とした会社は、採用数100名以上の会社に限定されていました。その他、採用人数による顕著な違いは見られませんでした。
集合研修には人数制限あり。60%強の企業が研修の人数制限を実施
前回の調査で、研修を分散して行うことを検討している会社が多々見られました。分散が感染対策になるためです。しかし、分散によってどの程度の人数までに抑えるかは各社でガイドラインが異なります。これを5名単位で区切って新たに調査しました。
全体の傾向として、「上限人数を設定しない」と回答した企業の割合は38.5%で、上限人数を設定するとした企業の方が多い傾向がありました。人数は企業によってまちまちで、10名以下、15名以下、20名以下、それ以上でほぼ均等(13.5%-15.4%)に回答が得られました。なお、採用数10名以下の企業では5名以下という回答も多少見られました。
研修について
性質の異なる「講義型の研修」と「体験型の研修」を分けて集計しました(複数選択)。特徴的なものを記載します。
1)講義型の研修
■講義型研修はオンライン化進む
「これまで通り」が40.7%と最も多く、変えずに行うものもあることがわかりました。次に「時間を短縮する」「ウェブセミナー(在宅)」「e-learning/マイクロLearning」が31.5%-33.3%で並びました。次に「ウェブセミナー(集合)」「拠点/部署単位で分ける」「同じ会場で小集団に分ける」が20.4%-24.1%で並びました。「新型コロナウイルスによる取り止め」「延期」は13%、11.1%でした。また、「検討中」は9.3%ありました。
通勤ラッシュを避けるなどの対策や、オンライン受講などが時間の短縮に影響したと推察します。「取り止め」や「延期」は出ているものの、講義型研修についてはそれほど多くなく、うまく実施手段が発見できた傾向があるようです。
2)体験型の研修
■体験型研修は30%弱が「取り止め」、代替手段少なく現時点でも15%弱が「検討中」
「これまで通り」が38.9%と最も多く、前回調査に比べ大きく伸び、変えずに行うものもあることがわかりました。次に、「新型コロナウイルスによる取り止め」が29.6%と講義型研修と違った傾向が見えました。
また「拠点/部署単位で分ける」が16.7%と多く、その後「ウェブセミナー(集合)」「e-learning/マイクロラーニング」「延期」、「時間を短縮する」「同じ会場で小集団に分ける」「ウェブセミナー(在宅)」が続きます。また、「検討中」は14.8%ありました。
前回調査と比較し、1か月間の間に体験型をウェブセミナー型などで実施するといった代替手段が発見されてきたことが伺えます。
また、講義型と比較すると検討中が多く、現状も検討が進んでいる状態だと推察されます。
3)講義型・体験型研修の比較
(1)採用人数が大きくなるほど「これまで通り」では実施できない
採用数10名以下の企業は講義型・体験型ともに60%以上が「これまで通り」を選択しましたが、採用人数が増えるに従って減少し、100名超では「これまで通り」を選択する企業はありませんでした。
(2)体験型研修は講義型研修と比べて「取り止め」になることが多い
採用人数が多くなるほど研修の「取り止め」が増加しています。いずれの層でも、体験型研修の取り止めが講義型研修の取り止めを上回りました。特に採用数が100名を超える企業では実に半分以上が、体験型研修の取り止めを選択しています。
(3)「時間を短縮する」のは体験型より講義型の方が多い
講義型については「時間を短縮する」が多くみられました。これはe-learningなどに移行したことにより端末の画面を集中して見続けられる時間に限界があることなどが影響したと考えられます。一方で、どの採用規模の企業でも体験型は講義型と比べると「時間を短縮する」が少ないことがわかりました。
(4)採用人数100名以上では「拠点・部署単位で分ける」企業が多い
採用人数100名以下の企業では講義型・体験型ともに「拠点・部署単位で分ける」企業は20%以下でした。一方で、採用人数100名以上では「拠点・部署単位で分ける」は顕著に多く、講義型研修においては実に半数以上が「拠点や部署単位で分ける」ことが明らかになりました。
本調査で同時に行った定性的なコメントも併せて考えると、3月末の研修直前にも状況が刻一刻と変わり、度重なるスケジュール・方針変更に人材開発担当者が翻弄されている様子が強く伺えました。研修の仕事は、少しの変更が多くの影響をもたらすため、学習効果を維持しながらの実施を危ぶむ声も出ていました。
研修担当者からは、感染対策を筆頭に、研修場所、早期配属の検討、外部講師との調整、通信環境・機器の確保、在宅勤務の規程の整備、見学研修のキャンセル、テキストの再考、研修の内製化・オンライン化などに困難があったという声があがっています。
※カレイドソリューションズ株式会社調査による。