いまどきシニアのネット利用実態と価値観|60代にも広がるスマホ利用。この世代に特徴的なネット利用行動と価値観とは?

SNSやニュース・動画サイトなど、インターネットメディアがここ数年活況を帯びている。そんな中、シニアの利用状況はどうなっているのだろうか。
市場調査・マーケティングリサーチの株式会社インテージ(https://www.intage.co.jp/ )は、シニア層(※本分析では60-69歳対象)のインターネット、メディア利用状況や生活意識、価値観について独自に収集するさまざまなデータを分析し、その実態に迫った。その結果をご紹介しよう。

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シニア層のスマホ利用率は4割。依然PCも同水準で利用

日頃の家族との連絡にLINEを使いこなすシニア層も珍しくない昨今、巨大市場となっているネット通販でもシニア世代の利用者が着実に増えています。総務省の「家計消費状況調査」によると、2018年時点で65歳以上世帯のネットショッピング利用率は、21.1%で、2007年の7.0%から11年間で約3倍にまで伸長しており、今後もネット市場での存在感を増していくことが予想されます。

そんなインターネットを利用するシニア層の実態を、まずはネット、パソコン、スマートフォンの利用率からみていきます。毎年12月にインテージが実施する「マルチデバイス利用調査」の結果で、年代ごとの2016年と2018年のデータです。

マルチデバイス利用調査

インターネットの利用率は10代から40代でほぼ100%、 50代で9割ですが、60代ではまだ7割にとどまっています。スマホは全年代で利用率が2年前より上昇傾向にあるのがわかります。10代から30代では、利用率が9割を越え、特に10代と20代はほぼ飽和状態。注目したいのは、50代と60代のスマホ利用率の変化の大きさです。60代の利用率はまだ5割にも達していないものの、利用率はたった2年で目覚ましく上昇していて今後の浸透が想像できます。パソコンについては、全体的に利用率は減少傾向です。また、若年層ではスマホに大きく水をあけられていますが、シニア層ではスマホとパソコンの利用率は同程度で、シニア層にとっては依然パソコンも重要なデバイスであることがわかります。

シニア層に存在感ある「Yahoo!」。利用サイトトップ5は「Yahoo!」「Google」「楽天市場」「Amazon」「YouTube」。6位、7位の「LINE」「Yahoo!ショッピング」も利用率5割超え

では、シニア層は一体どういった目的でインターネットを使用しているのでしょうか。生活者のさまざまな情報がID連携によりシングルソース化されたインテージの「生活者360°Viewer」から、インターネット利用者のサイト利用について、60代と10代~60代平均のデータ比較をみてみましょう。

シニア層のサイト利用

利用率上位のサイトの顔ぶれには、「Yahoo!」「Google」といったポータルサイトや3大ECサイト-「楽天市場」「Amazon」「Yahoo!ショッピング」、そして「LINE」「Facebook」「Twitter」といったSNSが並んでいます。

シニア層の3大ECサイトそれぞれの利用率は、全体平均並みもしくは全体平均以上となっています。今後、この層のインターネット利用率が上がることで、利用者は増えていくと考えられます。また、シニア層のECサイト利用で特徴的なのが、「Yahoo!ショッピング」の利用率が全体に比べ+13ptと高めに出ている点です。シニア層において、ポータルサイトの「Yahoo!」が利用率・利用時間ともにトップとなっていることから、ポータルサイトから直接アクセスしやすいといった手軽さや、以前から多くの人々に利用されていて親しみが持ちやすい、などといったことがこの年代の「Yahoo! ショッピング」の利用率を高めている可能性が考えられます。

一方、SNSの利用率は全体平均と比べて格段に低いことがわかります。最も利用されているのは「LINE」で、SNSの中では唯一、利用率が50%を超えています。家族や孫などと連絡を取る手段としてシニア層にも浸透しているようで、連絡ツールとしての立ち位置を不動のものにしています。「LINE」以外のSNSでよく利用されていたのは「Facebook」と「Twitter」でした。「Instagram」は利用率30%にも満たず、シニア世代での存在感は薄い様子。

シニア層の価値観。人づきあいは「広げず、深入りせず」、商品選びでは「ネット上の話題やクチコミより自分自身で品質見極め」

そんなシニア世代のインターネットの利用状況の背後にはどんな価値観があるのでしょうか。まずは、人づき合いや友人関係に関する価値観の特徴を見てみましょう。シニア世代の値と10代~60代の平均値との差が大きい価値観項目をピックアップしています。

シニア層の人づきあい

「人づき合いをあまり積極的に広げたいとは思わない」との考えの人が過半数と多く、また現在の友人関係については、「プライベートには深入りしたくない」「触れてほしくないことがあるときは、黙って見守るべき」と考える人が7割を超えています。自分の本音を包み隠さず話し、何でも悩みを相談したいというよりは、お互いのデリケートな部分には触れずに傷つけないように気を遣って接するのが望ましいと考えているようです。インターネット上でも、新たに人間関係を広げるよりも今つながっている人達との関係を大切にしたいという思いで行動していることが想像できます。

では、消費についての価値観にはどんな特徴があるのでしょうか。

シニア層の消費意識

シニア層は「話題性があっても、品質の裏打ちがなければ買わない」、「ものを買うときは価格に見合う価値があるか吟味する」など、インターネット上で話題になっているものや口コミへの関心は低く、実際に自分で試してより良いものを自分で選んで発見していきたい、という意識が強くみられます。そして、商品に望む要素としては、「デザインよりも機能」。わくわくするような見た目や新しい機能よりも、基本的な機能や品質がしっかりと保証されている商品を提供してほしいという考えを持つ人が多くなっています。

実際、スマホでの行動に関するデータでも、「クチコミ・評価を調べた」は全体に比べてシニア層では10pt以上低く、SNSで影響されて商品を購入するというような行動も稀な様子がわかります。

シニア層のスマホ行動

一方、「気に入った商品を長く使い続ける」という考えも、特徴としてみられました。ネットショッピングをするときは、まだ試したことのない新しい商品をネット上で買って挑戦してみるというよりは、以前店頭で実際に購入した経験があるものや、長年にわたって愛用し続けているものなどを選ぶ傾向にありそうです。

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いかがだっただろうか。いまどきのシニアはインターネットやデジタルデバイスを利用しつつも、「スマホよりもPC」を使用し、商品選びは「話題性よりも信頼性」という結果となった。ネットでの評判や話題だけでなく、実際の商品を自分自身で確かめる、といった堅実で慎重な選択を行う人が多数を占めているようだ。

【マルチデバイス利用調査】
調査地域:日本全国
対象者条件:15~69 歳の男女
標本抽出方法:RDD(無作為番号による電話調査)
ウェイトバック:インテージ独自のデータ採寸方法にてウェイトバック
標本サイズ:n=7,024

 

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