母親の代わりに祖母の面倒を見ることに。どうしても母親を守りたかった

そんな少し複雑な家庭でしたが、母親との仲は良かったそう。よく弟と母親を取り合いしていたと言います。

「父親は普段何も言わないですが、職人気質というか怒ると怖いタイプで、祖母は口うるさいタイプ。母親は祖母に対してだけは例外でしたが基本温厚で、母のゆったりと落ち着いた雰囲気が大好きでした。父との時間は全然なかった分、母親と近所の母の友人であるおばちゃんによく遊びに連れて行ってもらっていました。そのおばちゃんと私たち親子3人で泊まりに出かけてこともあります。

当時は私と弟でよく母親を取り合っていましたね。姉弟ゲンカの内容は、いかに母親に構ってもらえたかの自慢が入っていました。それぐらい母親が2人とも大好きだったんです」

高校を卒業後はパソコンや資格取得について学べる専門学校に進学。そして2年後、就職セミナーで見つけたソフトウェアの会社に勤め始めます。就職して3年目の時、祖母が倒れたことで奈々子さんは母親の代わりに祖母の面倒を見るようになったそうです。

「就職した頃には両親の不仲は落ち着いてきていましたが、嫁姑問題は相変わらず平行線のままで。そんな時に祖母が脳梗塞で倒れたんです。でも、幸い対応が早かったので、手術、長期の入院こそしたものの後遺症もなく、以前と同じくらい元気になりました。私はその半年間で、病院から呼び出された時の対応や祖母の身の回りの世話などをやっていました。理由は母からお願いされたから。それに、母に祖母の世話を強いて、これ以上に母親のストレスがたまるのを避けたかった。

私は祖母の世話をするために、市が支援していたNPO法人で介護の資格が安くとれる制度があったので、夜学に通いました。私は仕事終わりに祖母の世話と学校に通い、資格を無事に取得。祖母は家に帰りたいと言っていたので、そのために備えた感じです。でも……」

2度目の脳梗塞で倒れた祖母は左半身に麻痺が残り、病院からあることを伝えられます。そして祖母に続き、母親も病に倒れて……。
~その2~に続きます。】

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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