そして、セットアップスタイルを楽しむコツは、ジャケット1枚に対して、2足以上のトラウザーズを用意すること。その組み合わせで違った雰囲気の着回しを楽しんでいただけるので大変便利です。
まず揃えておきたいのは、ミディアムグレーとチャコールグレー(かなり濃い灰色)のトラウザーズです。特にミディアムグレーは、ジャケットがどのような色でもほぼ失敗のないコーディネイトが可能な万能アイテムなので、最初の1本におすすめです。
チャコールグレーは写真のような黒や紺、グレー系のジャケットと相性が良く、無難なミディアムグレーのトラウザーズよりおしゃれに見えます。
さらにライトグレーとトーンを変えれば、また違った印象のコーディネートを楽しむことができます。
もちろん、グレー以外の色を選んでも印象ががらりと変わります。カジュアルに洋服を楽しむ時には、明るい色のトラウザーズもいいでしょう。
ジャケット&トラウザーズのセットアップスタイルには、フォーマルウエアのような装いのルールはないので、節度のある範囲内で自由に楽しんでいただきたいと思います。
チャコールグレーのトラウザーズをミディアムグレーに替えたコーディネート。ネクタイをジャケットと同系色にすることで、より落ち着いた印象になります。
トラウザーズを赤に変えると、まったく違った印象になります。年齢を重ねた人生経験豊富な男性にこそ、このような装いがしっくりくると思います。
文/高橋 純(髙橋洋服店4代目店主)
1949年、東京・銀座生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、日本洋服専門学校を経て、1976年、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションのビスポーク・テーラリングコースを日本人として初めて卒業する。『髙橋洋服店』は明治20年代に創業した、銀座で最も古い注文紳士服店。
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