では、相続問題の専門家・曽根惠子さんに解説とアドバイスを伺いましょう。
「道子さん名義の土地は、価格を決めて姉と売買するか、無償で姉に贈与するか、将来、遺贈するかというように、選択肢がいくつかあります。不動産などで名義を共有するケースのトラブルは多いので、早めに解消されることをお勧めします。
お父様の財産は相続放棄をするにせよ、お姉様との会話が必要になります。もし対等な立場で会話ができないと判断したら、弁護士などのプロに間に立ってもらうことが必須です。その費用はどちらが払うのかも含めて、相続の専門家に相談することが大切です」
【今回の教訓】
ここ数年、家族に恐怖政治を行うモラハラ的な相続人が急増中。相続放棄するにしても、名義の問題など相続人同士の対話が必要となる。直接対話が難しい場合は、専門家など第三者を交えて話し合うとよい。
※注1『遺産分割協議』
遺言書がない場合、相続人全員で遺産について、誰が何を相続するか決めるための話し合いを遺産分活協議という。
監修・曽根惠子さん
夢相続 代表。PHP研究所勤務後、不動産会社設立し、相続コーディネート業務を開始。1万3000件以上の相続相談に対処、感情面、経済面に即したオーダーメード相続を提案。『相続はふつうの家庭が一番もめる』(PHP研究所)、『相続に困ったら最初に読む本』(ダイヤモンド社)、『相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル』(幻冬舎MC)ほか著書多数。
取材・文/沢木文
イラスト/上田耀子