枝垂桜は栽培品種のひとつにつけられた固有名詞
枝垂桜(しだれざくら)は枝が下に向かって垂れている桜の総称として用いられることもあるが、実は栽培品種のひとつにつけられた固有名詞だ。
平安時代頃から、日本に自生する桜のひとつエドヒガンという桜の中で、枝が枝垂れ、花が一重のものを人が育てるようになり、枝垂桜と名付けられた。
通常、エドヒガンは上に向かって枝が伸び、花は一重だが、突然変異で枝が垂れたり、さらに花が八重になる場合もある。枝が垂れたエドヒガンで花が八重のものには異なる名称が付けられ、雨情枝垂と呼ばれる栽培品種などがある。
桜の8~9割は染井吉野と言われる
また、桜の名所に植えられている桜の8~9割は染井吉野と言われるが、この染井吉野はエドヒガンとオオシマザクラをかけあわせて作りだされた桜だ。
日本に分布する10種の野生の桜など、桜の多様性を知ることで、より深く桜を楽しめる。
文/諸井里見