母親の異性関係は絶対に知りたくなかった

千尋さんが中学生になったとき、塾などで夜帰るのが多くなり、家族全員で食事をとる頻度は減っていた。洗い物のお皿の数で母親が祖父母と一緒に食事をとっていないことを知ったという。

「母親は私が帰る時間には家にいることがほとんどだったので、祖父母と一緒に3人で食事をしていると思っていました。当時は私は受験生で学校終わりに塾に通っていて帰りが遅く、兄もバイトで賄いを食べて帰ってきていたから。私は塾終わりに家で食事をしていたのですが、私が食事を終えてシンクに洗い物を運ぶと、そこには祖父母の2人分の食器しかありませんでした。それが何度も続き、母親は家で晩御飯を食べていないことに気づいたんです」

家で晩御飯を食べていないことを母親に聞くことを千尋さんはできなかった。

「聞けなかったのは、なんとなく付き合っている人がいるんだろうなって思ったからです。母親は離婚してから仕事をしていて、見た目も小綺麗。もう離婚をして10年以上経っていたから、彼氏がいてもいいとは思うのですが、知りたくなかったんです。母親が私の知らない男性に甘えたりしていることを想像すると、……言い方は悪いですが気持ち悪いと思ってしまって。母親の女の部分をイメージしたくなかったから、何も情報を入れたくなかったんです」

母親はたまに週末に出かけることもあったが、仕事や友人という理由だった。その理由を聞いて、千尋さんは毎度安心していたという。

「嘘なのかもしれないけれど、本当かどうかなんてどうでもよかった。ただ、母親も彼氏の存在を私たち子どもに言うつもりはないということがわかって安心しました。

兄にチラッと母親の異性関係について聞いたことがあったんですが、『知らない』と一言だけでした。兄が知らないことにも安心しましたね」

兄は27歳で結婚。そのときから、母親の彼氏と連絡を取るようになっていた。【~その2~に続きます】

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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