兄のパートナーは男性だった

遥香さんと兄は連絡こそ取り合っていたが頻繁ではなく、会うことはなかった。しかし、遥香さんが結婚の報告の電話をしたときに兄のほうから会おうと伝えられたという。そのときに兄は付き合っている相手を遥香さんに紹介してくれた。

「久しぶりに会った兄は、面影こそ残っていましたが、綺麗になっていました。よく見ると少し化粧をしているようでした。でも、恰好は男性のままでしたから、美容に目覚めたのかなと思ったぐらいでした。

私が結婚相手について話していると、兄にも付き合っている相手がいることを知って、お互いに会ってもらうことにしたんです。兄の相手がたまたま近くにいることがわかり、その場に来ることになったのですが、相手は男性でした。動揺してしまったのですが、それを見せまいと、まくしたてるように質問攻めにしてしまった記憶があります。でも、そんな私に対しても相手の男性は丁寧に答えてくれて、隣の兄も幸せそうでした。素敵な関係なんだろうなって最後のほうは素直に思いました」

その後、兄と母が互いに会いたがっていることを知った遥香さんは2人を引き合わせることに。和解したことで、遥香さんは兄と兄のパートナーも結婚式に招待したという。

「兄と母にお互い会いたい気持ちがあることを聞いてから、2人を実家で会わせました。兄は父に対しては思うところがあったようですが、母親とはずっと関係を修復したかったようです。その和解の場で兄はパートナーが男性であることも伝え、その場では動揺していた母親でしたが、兄のことを否定せずに受け入れていたように思います。兄にはそれだけで十分だったのか、笑顔でした。

私たちの結婚式は、お互いの家族だけの小さな挙式だったのですが、そこに兄のパートナーも招待しました。母と兄、そして彼のパートナーの3人が仲良く話している姿を見れて、私も幸せでした」

今は遥香さん夫婦と子ども、兄とパートナー、そして母親の6人で食卓を囲むこともあるという。このような温かい関係が築けたのは、兄が妹である遥香さんを信じ、心を開いてくれたから。きょうだいの絆が再び家族を繋いでくれたのだろう。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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