両親は付き合いたてのような関係になった
母親には夫を亡くした姉がいた。気分転換として2人は旅行に出かけるなど行動を共にする機会が、父親と離れたことで増えたという。その後に伯母から「母親の症状は更年期障害かもしれない」と里帆さんは伝えられる。
「更年期障害という言葉は聞いたことがありましたが、詳しくは知りませんでした。当時は更年期障害の外来に徐々に人が増えてきたぐらいの時期でしたから。伯母は更年期障害で病院にかかっていたので、伯母に母親を病院に連れて行ってもらいました。検査をして、更年期障害だとわかり、薬が処方されました」
母親は落ち着いていったが、父親は母親と暮らしたがらなかったという。その頃には父親は里帆さんの家から離れ、ホテル暮らしをしていた。3姉妹の家族が集まって話し合い、父親の新居を用意した。
「父親は何があっても私たち子どもには頼ってこないと思って、先手を打ちました。このままでは父親のお金が尽きてしまうかもしれないし、父親が自分で家を探してしまったら本格的に離婚に進んでしまうと思ったからです。私たち3人が両親に離婚してもらいたくないという思いで団結し、3人の夫も賛同してくれました」
その後は別々で暮らしながらも定期的に3姉妹のいずれかの家族と一緒に両親が顔を合わせて食事をする機会を作り続けたという。薬のおかげもあって気分の浮き沈みが落ち着いた母親と父親は徐々に会話をするようになり、その姿を「付き合いたての両親を見ているようだった」と里帆さんは振り返る。
更年期障害は加齢による女性ホルモン分泌量の低下が原因で引き起こされる症状の総称である。更年期には、気を許した相手に対してストレスをぶつけてしまうことはよくあることだとされている。現状でもアンケートにあったように更年期障害で病院にかかる人はまだまだ少ない。更年期障害はただ我慢するのではなく、個人差はあるが家族のサポートや医療にかかることで不快な症状を軽減させることはできるものだということはもっと周知されるべきだろう。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。
