取材・文/ふじのあやこ
一緒にいるときはその存在が当たり前で、家族がいることのありがたみを感じることは少ない。子の独立、死別、両親の離婚など、別々に暮らすようになってから、一緒に暮らせなくなってからわかる、家族のこと。過去と今の関係性の変化を当事者に語ってもらう。
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株式会社リライフテクノロジーが運営する、離婚・夫婦問題の課題解決型マッチングメディア「リコ活」では、「年末年始の義実家問題と夫婦関係への影響」について調査(実施日:2024年12月4日、有効回答数:20~50代の既婚者400人、インターネット調査)を実施。「義実家との関係性」についての問いに対して、「とても良好」「良好」を合わせると約47%と半数近くが良好な関係を保っていたものの、4人に1人は義実家との関係に課題を抱えているという実態が明らかになった。
今回お話を伺った達二さん(仮名・44歳)は、自分の親と妻の関係から夫婦関係が悪化してしまい、離婚に至った過去を持つ。【~その1~はこちら】
妻は夫の家族の場を“ストレス”と言った
結婚の挨拶のときに達二さんの家族と妻は初めて顔を合わせたが、談笑するなど終始和やかな雰囲気だった。達二さん夫婦が暮らす東京と、達二さんの実家がある地方都市は新幹線を使う遠方であり、顔を合わすのは年に2回ほど。その2回は、大型連休の家族恒例の旅行だったが、最初の頃は妻も達二さん家族との旅行に笑顔で参加していたという。
「付き合っている頃から、私が正月とお盆には家族で旅行に行っていることを伝えていました。その旅行に兄家族、姉家族が参加していたことも知っていたので、妻は結婚後には自分も参加することになることはわかっていたようでした。最初の頃は『夫婦になった、家族に入れてもらえた気持ち』と喜んでいたようにも見えていました」
しかし、妻は不満をためていたようで、2回目のお盆の旅行を「行きたくない」と言ってきた。
「妻は理由を話すときに、最初こそ実家で用事があるとか、仕事が残っているとか嘘の理由を伝えてきましたが、すでに妻を含めた人数の予約をしていたので、私がしつこく聞いてしまったんですよね。そしたら、『すべてがストレス、参加が強制なのが苦痛』と言われました。
家族になったのに、“ストレス”という言葉を使われて、心底ガッカリしました。妻には不参加でいいと伝え、両親たちには事実は伝えられなかったので、妻は実家で用事ができたと嘘をつきました」
達二さんの両親や兄や姉も達二さんの妻には友好的だった。そのこともあり、達二さんは妻に優しくできなくなっていったと振り返る。
「両親は参加できなかった妻のことを思って、お土産をたくさん買ってくれました。姪は妻に懐いていたので手紙を書いてくれたりもして……。それを持って帰ったときには、母と姉にお礼のメールはしていましたが、私には少しだるそうな態度に見えました。もう私には本音を伝えたから、迷惑な気持ちがあることを隠さないでいいと思ったのかもしれません。そんな態度を見て、うちの家族の好意が踏みにじられたような気持ちになって、妻のことは嫌な女に見えましたね」
【義親の前では「辛い」も言えない。次ページに続きます】