取材・文/ふじのあやこ

一緒にいるときはその存在が当たり前で、家族がいることのありがたみを感じることは少ない。子の独立、死別、両親の離婚など、別々に暮らすようになってから、一緒に暮らせなくなってからわかる、家族のこと。過去と今の関係性の変化を当事者に語ってもらう。
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アンファー株式会社が展開するデリケートゾーンケアブランド「Femtur(フェムチャー)」は、更年期世代である女性を対象に「更年期のヘルスリテラシーに関する調査」(実施日:2024年10月、有効回答数:全国40~50代女性400人、インターネット調査)を実施。調査にて、原因不明の体調不良を「更年期のせい」だと決めつけてしまったことがある女性は46.3%となった。そのうち75.1%が「その時、医療機関を受診した?」との問いに「ない」と回答した。更年期障害の正しい情報の入手や活用には、かかりつけ医を見つけておくことが有効とされているが、婦人科のかかりつけ医がいると回答したのは23.3%、約4人に1人という結果になっている。
今回お話を伺った里帆さん(仮名・43歳)は、姉妹で協力して、両親の熟年離婚の危機を乗り越えた過去を持つ。
温厚な父親が怒ったのを見たのは一度だけ
里帆さんは両親と3歳上に姉、2歳下に妹のいる5人家族。女性ばかりの家では、母親が一番強かった。父親は温厚で、里帆さんは父親に怒られたことは一度もないという。
「父が怒ったのは、姉が非行に走りそうになって警察のお世話になったときの一度だけです。姉は父から思いっきり平手打ちをされて、顔が腫れるだけでなく眼球打撲も負いました。温厚な父親が怒った姿を見て、子どもだった私と妹は震えあがりましたよ。片目が赤くなった姉を反面教師として、私と妹は、父の前ではいい子でいようと2人で誓い合ったことを覚えています」
里帆さんが父親が怒ったのを見たのは上の一度だけ。それは娘3人に対してだけでなく、母親に対しても父親は優しかった。
「母親は、どちらかというと怒りっぽくて、私たち娘をしょっちゅう叱っていました。その怒りの矛先は、私たちだけでなく父親に向くこともあった。父親は母親の怒りからの暴言を何も言わずに聞き続け、謝ることもありました。父親が何度も謝ることで、母親の怒りは比較的すぐに落ち着くことが多かった。その後の両親はいつもより仲良しになりました。そんな2人を見て、夫婦って不思議だなって思っていましたね」
小さい頃、里帆さんは父親に母親のことを「腹が立たないのか」と聞いたことがあった。父親は笑って答えたという。
「『もちろん腹が立つときもある。でも、お母さんは素直なだけだから』と父は笑って言いました。怒りっぽい母親と温厚な父親というまったく違う2人だからこそ、パートナーとして成立しているんだろうと思いました。
よく父親と似ている人を好きになるというじゃないですか。子どもの頃はそんなわけないと思っていたんですが、結局私が選んだのは、父親みたいに優しい人なんですよね。夫とは今までケンカは付き合った頃に一度したきり。感情が一定の人と一緒にいると、自分も落ち着きます」
【妹は母親の暴言から実家に寄りつかなくなっていた。次ページに続きます】
