取材・文/ふじのあやこ

一緒にいるときはその存在が当たり前で、家族がいることのありがたみを感じることは少ない。子の独立、死別、両親の離婚など、別々に暮らすようになってから、一緒に暮らせなくなってからわかる、家族のこと。過去と今の関係性の変化を当事者に語ってもらう。
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終活の情報メディア「終活瓦版」を展開する株式会社林商会は、生前整理に関する調査(実施日:2025年1月21日~1月24日、有効回答数:家族の遺品整理を行ったことがある200人、インターネット調査)を実施。調査にて、どれくらいの方が生前整理を行っているのか聞いたところ、約8割の人が行っていないことがわかった。次いで、生前整理を行った方に、遺品整理を行った際に精神的な負担を感じたかどうかを聞いたところ、「どちらかというと負担を感じた」「負担を感じた」と答えた方は約67%になっている。
今回お話を伺った純子さん(仮名・45歳)は、親の生前整理を手伝ったことで精神的な負担を負っていた。
2人の兄の影響で、長女は男の子っぽく育った
純子さんは両親と、4歳上と2歳上に兄のいる5人家族。上の兄は優しくて真面目、面倒見も良く、純子さんと仲良しだった。2番目の兄は自由で親から怒られることが一番多かったという。
「上の兄は私だけでなく、両親にも優しかったです。要領が少し悪くて、その上真面目なので、何事にも時間をかけるタイプでした。でも真剣なので、そこが憎めなくて、母親は兄のことが1番かわいかったと思います。
2番目の兄は、本当に自由なタイプ。ランドセルがダサいといって、小学校4年生のときに近所の小さい子にあげて帰って来たこともありました。家族旅行には前日の夜に急に行かないと言い出したり、親族の集まりに飽きたと言って家族揃って車で行っていたのに勝手に電車で1人帰ったり……。よく普通の大人になれたなとしみじみ思います」
純子さんはそんな正反対ともいえる2人の兄とともに育ち、小さい頃は男の子っぽい子どもだったと振り返る。
「家に少年マンガやゲーム機が当たり前にある家だったので、自然と少女漫画やおままごとといった女の子の遊びよりも、男の子の遊びをすることが多かったんです。母親は私を女の子らしく育てたかったみたいで、髪の毛も長くて、スカートをはくなど、女の子らしい恰好はしていたんですけどね。中学に上がったぐらいで兄たちと一緒に遊ぶ機会は自然と減っていったこともあっておしとやかになったものの、気の強さは直りませんでしたね」
【上の兄と両親との良好な関係は、結婚で変わってしまった。次ページに続きます】
