父親の不倫を母親に伝えることはできなかった

両親の仲を心配した兄と円佳さんは2人で別々に実家に帰省。円佳さんが両親を連れだして食事に行き、その間に帰省した兄がタブレットで父親が何をしているのかを調べたという。

「父親にタブレットを渡したときに初期設定などはすべて兄がしていたし、元々兄が持っていたタブレットと同じタイプのもので、私よりも兄のほうが調べやすかったので、この作戦になりました。そして、兄が調べたところ、SNSを利用して、父親には外に女性がいることがわかったのです」

父親と浮気相手とされる女性との間で交わされていた内容は生々しいものだった。その事実を黙っておくべきかきょうだいで話し合い、不倫を知ってしまったことを父親だけに伝えたという。母親は不倫の事実を知ることなく、父親に離婚を申し出ていたのだ。

「とてもじゃないけれど、母親には不倫の事実は伝えられませんでした。兄から父に伝えてもらい、不倫だけはやめさせることができました。結局、父親はネットやSNSをやめることなく、そこで得た新たな人間関係を母親よりも優先し続けました。そんな父親に愛想を尽かせ、母親のほうから離婚を申し入れ、父親は受け入れたようです。

私は父親の不倫を知らないことになっていたのですが、あれから父親と2人になる機会を避け続けてしまい、両親が離婚に至った経緯は母親側からのものしか知りません」

実家には母親が住み続け、父親は別の場所で暮らしている。現在は、兄は父親の様子を、円佳さんは母親の様子を定期的に見ているという。円佳さんは「浮気されていたことを母親に黙っていることが辛かった」と振り返る。親の不倫を子どもが先に知ったとき、された側に伝えた場合も伝えない場合もどちらにも子どもは罪悪感を持ってしまう。そこに子どもの年齢は関係ない。この罪悪感を1人で抱えることはとても辛く、誰かに話すことが心のケアになるが、他人に話すには躊躇してしまう内容だっただろう。円佳さんに兄という存在がいたことは何よりも心強く、一番の心のケアになったはずだ。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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