仕事を引退した両親に、今までの生活水準を保ってもらいたかった
小さなケンカはしていたものの、2人で日本旅行や海外旅行を楽しむなど両親は仲良くしていた。2人とも仕事を引退してからも旅行したり、一緒に外食することが多かったという。
「私は32歳のときに結婚して、その後は頻繁に帰省できなくなったのに、両親はちっとも寂しそうじゃありませんでした。50代後半で正社員からパート勤務になっていた母親が先に仕事を引退して、その後60歳で父親も引退したのですが、2人で海外旅行を楽しむなど悠々自適な生活を送っていましたね」
仕事を引退してからも悠々自適な生活をしていたことが不安になった円佳さんと兄は実家にそれぞれお金を渡していた。
「生活レベルを下げることは難しい、とどこかで目にしたことがあったので、仕事を引退してからの親の金銭状況が心配になったんです。私は結婚はしているものの子どもはいなかったので、両親が仕事を引退してからは決まった額を毎月送っていました。私の額は月に3万円で、年2回のボーナスの時期には別途5万円ぐらいです。兄は独身で、月の仕送りというよりも、旅行に行くときや家の家電など大きな額が必要なときには援助していたみたいです」
兄は実家の家電の1つとして、父親にタブレット端末を買っていた。これが両親の離婚のきっかけになってしまったという。
「兄はスマホの画面が見にくくなっていた父親のために、よかれと思ってタブレットをプレゼントしたんです。でも、後々すごくそのことを後悔していました」
1つのタブレット端末によって、父は部屋に引き籠るようになり、やがて外出するなどアクティブになっていった。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。
