2024年2月4日、北海道付近の低気圧に湿った空気が流れ込んだ影響で、帯広市では12時間の降雪量が120cmを記録。過去最も多い積雪量になった。日本海側でも寒気の影響で、降雪量は増えている。北陸から新潟県では帯状の雪雲を作り出す「JPCZ」(Japan-sea Polar airmass Convergence Zone /日本海寒帯気団収束帯)がかかり、短時間で積雪が急増するおそれがあるという。
降雪は除雪作業が伴う。帯広では学生の「雪かきボランティア」が高齢者世帯の生活サポートをしたと報道された。日本海側の自治体も、除雪ボランティア活動は行なわれている。除雪は命の危険と隣り合わせの危険な作業だ。国土交通省は、「除雪ボランティアに参加する際の注意事項」で安全を呼びかけている。
直樹さん(60歳)は5年前にメガバンクを早期退職し、1年前から日本海側の故郷で暮らしている。「豪雪地方に住む父が心配で戻りました。東京の妻とは遠距離婚で子供もいないから、年収200万円でも十分な生活ができる」という。
東大卒は海外勤務、私大卒は地方勤務の劣等感
直樹さんは、大学卒業後にメガバンクに入行した。新人研修で研修所に入った時に、「俺はここでは兵隊の1人として、人生が終わるんだ」と思ったという。
「当時、銀行に入行すると、新入行員は3週間程度の研修施設での研修が待っています。そこでは、身だしなみやマナー、挨拶の訓練から札勘定など、行員として必要なスキルを叩き込まれるのです。後半はテーマを与えられ、グループに分かれて討論するというプログラムもありました。確か、“東南アジアに進出する企業支援”みたいなテーマだったと思いますが、東大卒の奴らは本当に頭の回転が早い。 “こいつらに俺は使われるんだろうな”という感覚があったのです」
直樹さんは私立でトップクラスの大学を卒業している。優秀さでは引けを取らないが、「頭の作りが違う」と感じた。
「銀行に入って優秀な奴は、早期に海外や本社勤務の辞令が出る。当然、僕は東北地方の支店に飛ばされ、30歳まで東京に戻れなかった。優秀な奴らは、ニューヨーク、ロンドン勤務になっており、いい経験をどんどん重ねていた。例えば、“石油プラントに国家予算レベルの融資”の案件とかね」
一方、直樹さんは地元の建設業者や工場への融資を主とする法人営業。
「僕の世代は海外志向が強い。向こうは世界をまたにかけ、こっちは地べたを這いつくばっている。決断が早く、地元に食い込んでいる地方銀行に負けないように仕事をしても、スピード感で劣り負けを喫したことが何度もありました」
地方出身者だから仕方がないと自分を納得させていたこともあったが、自分たちが融資するお金で地域産業が活性化していく。その様子を肌で感じることにやりがいを感じていたという。
「銀行の仕事のいいところは、多くの経営者と密接にコミュニケーションできること。そのうちに、うまくいく人といかない人の決定的な違いが見えるようになったんです。まず、うまくいく人は私欲と情が薄い。従業員に好かれようとせず、淡々と仕事をしている。公私を切り分けているから、会社がうまく回るんです。また、当時はバブルでしたが、浮かれていなかった」
事業が傾く経営者は、欲が深く、情があった。
「従業員に好かれようとして、ものを買ったり、飲みに連れて行ったり。あとは、社内の女性と関係を持つと、会社は傾く。“だらしないボスの下で働けるか!”って気持ちになるんでしょうね。あと他人を怒鳴ったり感情的な態度をとる人も、うまくいきません。だから、融資はしない」
地元に溶け込み、成績も優秀だった直樹さんは、30歳の時に東京のある支店に勤務になる。
「本社には行けませんでしたが、出世コースに乗れる支店に勤務になり、40歳で本社へ。そこでも結果を残しました」
【お金を貸すのは支援、50歳で自分の人生を歩きたくなった……次のページに続きます】