取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです。

一緒にいるときはその存在が当たり前で、家族がいることのありがたみを感じることは少ない。子の独立、死別、両親の離婚など、別々に暮らすようになってから、一緒に暮らせなくなってからわかる、家族のこと。過去と今の関係性の変化を当事者に語ってもらう。

株式会社AZWAYは「子育てで大変だったこと」についてのアンケート(実施日:2024年8月3日~9月21日、有効回答数:20代から60代以上までの615人、インターネット調査)を実施。「子育てが大変だったか」との問いに対し、1位は「それなりに大変だった」59.7%、2位は「とても大変だった」34%、3位は「あまり大変ではなかった」6.3%という結果に。次いで「子育てで大変だったこと」について聞いたところ、1位は「自分の時間がない」335票、2位は「夜泣き」334票、3位は「子どもの気分の変化」234人という結果になっている。

今回お話を伺った凛子さん(仮名・44歳)は、共働きの家庭で育ち、多忙だった両親は娘が望んだものをいつも「ムダ」「必要ない」という言葉で一喝した。しかし、進学など必要なものに対しては不自由なく育ててくれたという。【~その1~はこちら

嫁いだことで親子という上下関係はなくなった

そのときの流行りのものなどをムダだと一切買ってもらえなかった凛子さんは高校時代からアルバイトを始め、好きなものは自分で手に入れてきた。大学でもアルバイトを続け、就職を機に一人暮らしを始める。

「仕事で毎日くたくたで家は寝るだけでしたが、それでも解放感は半端なかったです。家で母親の姿を見るだけでまた何か言われるかもしれないと構えるようになっていましたから。

実家では母親から小言を言われないために部屋を綺麗に保っていたんですが、母親の目がない一人暮らしの家はあっという間に汚部屋になってしまいました。コバエが大量発生してしまったことがあって、それからは掃除するようになりましたけどね」

凛子さんは職場で知り合った1歳下の男性と29歳のときに結婚。結婚の挨拶、両家の顔合わせと結納、結婚式などはすべて行ったという。

「結婚という儀式は人生の中の必要なことだったからです。私たち世代というよりも親世代にとっては。私の両親はずっと共働きで、家では嫌味三昧の母親も外面は悪くなかった。だから安心して相手にも相手の親にも紹介できました。

結婚式などを行ったことで別の家に嫁ぐ、もうあなたたちの子どもじゃないということを両親に強く認識してもらいたかった。親子という上下関係は終わったんだと」

就職して家を出てからも親からの連絡が来て帰省することはあったが、結婚してからはほとんど実家に寄りつかなかったという。断りの言葉は「向こうの家に行くから」だった。

「親世代のほうが嫁ぐという意識が強いから、親の中で夫側の家のほうを大事にするのは当然なんです。だからお正月もお盆も『向こうの家に行くから』と言えば何も言い返してきませんでした」

【「あなたに子どもがいなくてよかった」。次ページに続きます】

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