ゴミ屋敷の救世主は夫
祖父母宅は父親、叔父にとっては実家だった場所。それをゴミ屋敷にしてしまった兄夫婦に対しての怒りは収まらず、親族も伴っての話し合いにまで発展した。その結果、お金のこともあり兄夫婦を追い出すことに成功したという。
「祖父母の家を親族から譲り受けたことで、父親が固定資産税を払っていて、兄夫婦はタダで暮らしていました。それをやめること、そしてカビの生えた壁の修繕費や着物などのカビ取りなどのお金などを一括で請求すると伝えました。さらに、掃除の業者を入れて、今あるものを処分すると伝えるとしぶしぶ兄夫婦は出ていきました」
兄夫婦は必要ではないものをそのまま置いていき、ゴミとカビの生えた汚れた家が残った。兄夫婦とはそのまま疎遠になってしまったという。そして、その場所に現在、悦子さん家族が暮らしている。
「父は、家を取り壊すつもりでした。周囲には空き家もあるような地域だったので、土地も売れるかどうかとも言っていました。だから、夫と話し合って、祖父母の家をリノベーションして私たちが暮らそうと決めました。ちょうど私が妊娠した時期でもあり、そのとき暮らしていたマンションでは手狭になりそうだと話し合っていたところだった。その判断をしてくれた夫に感謝しています」
悦子さん家族の新しい家の周囲には悦子さんの親族が多く、実家も徒歩圏内。夫の実家からは離れたところであり、夫の会社からも以前暮らしていたところからは遠くなっていた。夫だけに負担を強いる環境に対して、夫は「家族は妻側が気楽に過ごせる環境が一番。これまでの関係性から義両親とは大丈夫だと思った」と口にしたという。完全同居ではなく、親とはご近所さんという関係であり、元々程よい距離感を保つタイプの両親だからこそ、うまくいっているのだろう。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。