離婚で大変なときに母親は「絶縁」を宣言

20代後半で瑠香さんは妊娠し、出産する。瑠香さんは同じ職場の同僚と結婚したが妊娠を機に退職して、子育てが落ち着くまでは専業主婦をしていくことを夫婦の話し合いで決めていた。夫はそのまま同じ職場で働き続けていた中で職場の女性と不倫関係になり、瑠香さんは離婚することになる。

「不倫相手の女性とは面識はありませんが、私のことを知っている人が夫の不倫を教えてくれて、知りました。その不倫では、私は夫から離婚したくないと言えば再構築するつもりでした。でも、夫は離婚したいと言いました」

突然の離婚に瑠香さんは戸惑い、両親や妹に相談した。父親と母親はまったく別の反応だったと振りかえる。

「父親は具体的な対応のアドバイスや援助を申し出てくれました。一方の母親は、『このまま離婚したら相手に都合の良い状況になる。悔しくないの?』といった感じでした。当時の私には母親の言葉のほうが響き、父親の対応は冷たく感じました」

しかし、離婚の話し合いに親身になってくれたのは父親と妹だった。母親は離婚すること自体を受け入れられずに話し合いに参加しても瑠香さんの夫を罵るだけだった。離婚の話し合いの中で父親と連絡を取っていることが母親にバレてしまい、母親から絶縁を言い渡されたという。

「離婚の話し合いでただでさえ精神的に疲弊しているのに、あのときの母親は私のためとはいっても疲れるだけの存在でした。そして、最後に『絶縁』ですからね。離婚がある中でその絶縁はあのときはそこまで心に響きませんでしたが、後からじわじわきましたね。それでもいいかと思えたのは、父親や妹の存在が大きかったです」

瑠香さんは離婚してしばらくは父親と一緒に暮らし、子育てを手伝ってもらっていた。今は父親の元を離れ、子どもとの二人暮らしをしている。父親とは連絡を取っているが、母親とは一切取っていないという。

親との関係を断つことで罪悪感を抱く人がいる。しかし、親といるときよりも今穏やかに過ごせているのなら、その選択は間違ってなかったということ。子どもとの生活、父親との関わりを話している瑠香さんは、幸せそうに見えた。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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