義姉がトイレから2時間も出てこない
義姉は仕事帰りにたくさんの食べ物を買って帰ってきて、夕飯の前後でその袋に入っている食べ物をすべて食べ切るような生活をしていた。そして、その後はトイレに籠る。お給料前になると家にある食べ物を食べつくすようになり、家の食べ物は義母と加奈子さんで買い足していたという。
「義姉はトイレに籠るときには音楽プレーヤーを持ち込んで、嘔吐の音などをかき消すようにしているんですが、その時間が長くて、1時間以上、2時間になるときもありました。その間は、トイレはもちろん、家のトイレとお風呂は隣にあったので脱衣場に行くこともできずに、義姉のトイレ待ちで自由にお風呂にも入れませんでした。
さらには、お給料前になるとお金がないからなのか、食べ物を買ってくるのではなく、家にあるものを勝手に食べるようになります。義母がそれに気づいて家の食べ物を買って来てくれるのですが、それさえもなくなるときは私がその日食べる分だけ買い足すようにしていました。食べ物をストックすることができず、お金もかさむばかりで、お風呂やトイレも義姉が帰って来てからは自由にできない状態でした」
加奈子さんは夫と話し合って、義実家を出ることを考え始めたが、義母と義姉は以前2人暮らしをしたときに関係が破綻した過去があり、「もう少しだけ同居してくれ」と義母から懇願されているという。
「義母が義姉の食に対して口出しをして、それに対して義姉が言い返してケンカになる、というのを繰り返していたみたいです。その結果、義姉は義母に何の相談もなしにいきなり一人暮らしをすると出て行ったという過去があり、いざ戻ってきても症状が悪化している義姉に対してどのように接していいかわからないと。だから、2人きりにしないでくれと義母から訴えられました。最初はもう少しだけと言われていたのですが、今も同居状態は続いています」
加奈子さんの義姉は若い頃に摂食障害を患い、一度回復傾向にあったものの、症状が改善したり悪化したりを繰り返しているという。一方の義母は義姉が実家を出てから2年ほどで長男夫婦を呼び寄せている。摂食障害になってしまった背景には家族が関係していることも多く、1人になりたくないという強い思いがある義母が義姉の病気に関わっているように感じた。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。