自慢の長女の転落の道

人生は計画通りに行かない。娘たちを蓉子さんと同じ中高一貫校に入れるまではよかったが、妹は高校を中退した。学校が合わなかったからだ。

「下の娘は派手なところがあり、厳しい校則が嫌だったみたいで。なんとか思いとどまってもらおうと思うも、思い込んだらそこしか見えない子なので、中退の一択。しかたなく折れたのですが、あのときは人生最悪でした。後頭部に円形脱毛症が2つもできたから」

蓉子さんの作ったレールに乗っかったのは長女だ。夫と同じ大学への進学こそかなわなかったが、有名な私立大学に現役で合格し、卒業した。

「長女は主人も一目おく、ぴっかぴかのエリートだったんです。一流商社に内定し、私の憧れだった国際的なキャリアウーマンになるのかと思っていたら、ハードワークで体を壊して、1年で退職。まあ、慣れない仕事と、男社会で無理をしたんでしょうね。ボロボロになっていました」

1年間、引きこもりのような状態になっていた長女は、「世のため人のために働きたい」と政府の外郭団体に就職するも、2年で退職。人間関係がうまくいかなかったことと、給料が安かったからだ。

「その後は、好きなことをしたいと、ラジオ番組の制作会社、テーマパーク運営会社、金融関連会社と転々とし、新進気鋭のIT関連会社に就職したときに、できちゃった結婚したの。相手の男は専門学校卒。せめて大卒の男と結婚してほしかったんだけど、まあ、29歳になっていたし、もういいかなって。私の計画では、長女は収入も家柄も安定した男と結婚して、きちんと結婚式もしてほしかったけど、子育ては思うようにいきませんね。まさか自慢の長女が転落の道をたどるなんて」

一方、妹は高校中退後、バックパッカーになり、インドネシアで日本人男性と知り合い結婚。その男性は、プラントを造営する企業の正社員で、今は日本で生活しているという。

「さらに下の娘は大検も取得し、映像制作の会社で働き、もう部長だって。夫婦で稼いでお金もあるのに、古い賃貸住まい。双子の孫が4年生で、男の子だからそろそろ中学受験と思って話をしたら、“絶対に公立”と言って聞かないの。変わっているよね」

次女夫婦は、「子供が夜中まで勉強する中学受験は間違っている」と思っているそうだ。

【自慢の孫娘は、不登校から学校をやめた……後編へと続きます】

取材・文/沢木文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。連載に、 教育雑誌『みんなの教育技術』(小学館)、Webサイト『現代ビジネス』(講談社)、『Domani.jp』(小学館)などがある。『女性セブン』(小学館)などに寄稿している。

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