義父を失ったことで義母は睡眠障害に
義父ががんを患って亡くなったのは67歳のとき。義母は60歳、詩織さんは結婚9年目になったときで30歳だった。
「がんを患ってから一時は手術をして退院までいったものの、すぐに再発してしまって、結局、病気がわかってから1年ほどで義父は亡くなってしまいました。義父のお見舞いをしているときの義母は異様に元気で、亡くなってからしばらくは覇気を失ったように何も言葉を発しなくなりました。それでも、半年ほど経って徐々に元気になっていったんです。でも、それは私たちの前で元気に見せていただけでした」
義母はそこから7年ほどふさぎ込むことになり、日常生活をやっと送れるぐらいにまで弱ってしまったという。
「義母は睡眠障害を患ってしまって、薬に頼るような生活になりました。目を閉じると義父の姿が映って、覚醒してしまうようで、病院にかかる前は毎日1時間ほどしか眠れなかったみたいです。仲良くしてくれていたご近所さんから夫に連絡が来たことでその事実がわかったんですが、何の医療にもかからないままだったら危なかったと思います」
そんな義母を一人息子だった夫は放っておくことができず、詩織さん夫婦は兵庫県に移住することに。詩織さんは元気になってもらいたい一心で、さまざまな場所に義母を連れて行った。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。