家にある美術品に嫁は興味を持ちだした
息子さんの写真を見せていただくと、依頼者・直哉さんとは似ても似つかぬ地味男子。全身がファストファッションで、小柄で小太り。スレンダーで筋肉質な父親とは真逆です。
「とても真面目な性格で、人に優しく、趣味は数学の研究なんです。そちらの道に進みたかったようですが、私が、“この家を受け継ぐのはお前だ”と言って、会社を継がせました。本当にいい子で、結婚するまでは素直に言うことを聞いていたのに、嫁と知り合ってから反抗的な態度を取るようになったんです」
それまで、直哉さんが先祖代々受け継いできた美術品や着物などを大切に扱ってきていたが、次第に軽んじるようになったという。
「嫁は古いものをバカにする。結婚当初、リビングにかけてあった、ある著名作家の小さな作品を見て、嫁が“ナニコレ~。キモい絵”と言ったんです。そこで家内が“それはね、〇〇先生の作品なのよ”と言ったら、“ふーん”と。それをどうも悪い友達に言ったらしく、ウチにあるものに価値があることがわかったらしい。私たち夫婦にわからないように持ち出しては、売っている気配を感じるのです」
嫁には絶対に悪い男が付いている。そのように直哉さんは確信している。
「我が家が持っている資産や土地、経営している複数の会社について息子が興味を持ちだした。それは、嫁がささやいているに違いない」
それより恐ろしいのは、大切な長男に対して、危害を加えられないかを心配しているという。
「例えば、妙な儲け話に乗せてきたり、財産を狙って息子から暗証番号を聞き出したり、さまざまな表に出していないことを聞き出されたら困ります。それよりも、大切な息子が傷つけられたり、命を脅かされたりしては一大事です。そうなる前に、火種を消しておきたいのです。嫁の素行調査をお願いいたします」
【夜中に家を出た嫁は、一人繁華街に向かい、タクシーに乗り込んだ……その2に続く】
探偵・山村佳子
夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定メンタル心理アドバイザー、JADP認定夫婦カウンセラー。神奈川県出身。フェリス女学院大学卒業。大学在学中に、憧れの気持ちから探偵社でアルバイトを始め、調査のイロハを学ぶ。大学卒業後、10年間化粧品メーカーに勤務し、法人営業を担当。地元横浜での調査会社設立に向け、5年間の探偵修業ののち、2013年、リッツ横浜探偵社設立。依頼者様の心に寄り添うカウンセリングと、浮気調査での一歩踏み込んだ証拠撮影で、夫婦問題・恋愛トラブルの解決実績3,000件を突破。リッツ横浜探偵社 http://www.ritztantei.com/