文/鈴木拓也

「人生100年・現役80歳」が現実味を帯びたこれからの時代、自分のキャリアパスに不安を募らせているビジネスパーソンが増えている。

そして、様々な要因がからんで、「会社を辞めたい」という気持ちにとらわれることもある。

「会社を辞めたい」気持ちは健全な危機感

抑えがたいその感情は、むしろ「チャンス」だと説くのは木村勝さん。中高年専門ライフデザインアドバイザーとして、会社を辞めるべきかと悩む人たちの相談に乗ってきたその道のプロだ。

木村さんによれば、「会社を辞めたい方程式」というものがあるそうで、「仕事がつまらない」といったネガティブな感情が20回わき起こると、それが「会社に行きたくない」という感情に変わるという。

また、40代以降でも、そうした鬱屈した感情を抱えている人は少なくないそうだ。

木村さんは著書『会社を辞めたいと思った時に読む セカンドキャリアの見つけ方』(ビジネス教育出版社)で、次のように書いている。

「会社を辞めたい」という思いは、自分自身が心のうちから発信する健全な危機感です。このアラームを見逃してはいけません。(本書25pより)

いたずらに悩むのではなく、その危機感をセカンドキャリア推進のパワーにしてほしいと、木村さんは言う。

1年かけ「仮面コンサルタント」として働く

いちど「辞めたい」という思いが出てくると、一刻も早く退職届を出してスッキリしたい感情が湧き上がるもの。

しかし、セカンドキャリアを成功に導くには、冷静に準備したほうが吉と出やすい。木村さんによれば、勤務先で1年後に働いている自分の姿が想像できるか否かが、「辞める」「辞めない」の分水嶺だそうだ。そう考えてみて、1年なら大丈夫そうとなったら、余裕を持ってセカンドキャリアを計画できる。

では、この期間になにをすればいいのか?

木村さんは、今の職場で気持ちの上では「仮面コンサルタント」として働くことをすすめる。つまり、期間限定で契約し、その間に成果を出すと覚悟したコンサルタントとして、「今いる会社のマネタイズの仕組みはどうなっているのか?」を解明する。

人を雇用して事業を行っている会社は、その企業オリジナルのマネタイズの仕組みを持っています。その仕組みを1年間かけて徹底的に理解し、同時に会社におけるご自身の役割を「見える化」します。あなたが今回会社を辞めるに至った経緯そのものも貴重なノウハウになります。(本書91~92pより)

この意識で取り組んで得るものは大きく、それは血肉となって次のステージへと行かされるというわけだ。

また、もう1つのアクションとして、世代を問わず実行したいのが、転職エージェントや転職サイトへの登録。入社2年目の若手社員の約半数が転職サイトに登録しているという、ちょっと驚きの事実がある。ミドル以上の世代には、抵抗感があるかもしれないが、登録は「デフォルトの行動」だと、木村さんは力説する。登録は、求人情報を探す以外にも、自分が持っている知識、スキル、経験が、転職市場との間にどれだけギャップが生じているかを把握する格好の機会にもなる。そして、実際にギャップがあるのなら、その領域の知識・ノウハウを獲得すればいい。

50代のセカンドキャリアの構築法

木村さんは、本書の後半で30~60代を10年区切りにして、それぞれのセカンドキャリアの秘訣を記している。

「サライ.jp」読者の中核となる50代について見てみよう。言うまでもないかもしれないが、この年代の求人はぐっと少なくなる。たとえ大企業で高額の年収を得ていても、そのレベルの求人は、ほとんどないと覚悟した方がいい。今のその年収は、大企業の潤沢なリソースがバックにあって、しかも年功序列賃金によって割増されたものだからだ。

木村さんは、報酬への考え方を変えよとアドバイスする。つまり、収入や役職ではなく、「自身の成長」「人脈の拡大」「新たな仕事へのチャレンジ」といった目に見えない報酬へとシフトする考え方だ。

さらには、個人事業主として独立が、現実性のある選択肢として浮上してくるのが、この年代。木村さんも、新卒入社した会社を52歳のときに辞めて独立している。

個人事業主は、開業して4割近くが1年以内に廃業する厳しい世界だ。しかし、会社を辞めたい理由が、個人事業主になることで解消されるなら大いに検討する価値はある。また、廃業リスクを減らすため、「今までの業務の延長線上で独立する業務委託型」の方法がすすめられている。

また、本格的な独立への布石として、月3万円を稼げる新たな仕事を始める、「3万円ビジネス」を立ち上げるという仕掛けも。

どんなことでも構いません。1年以内に3万円ビジネスを立ち上げることを今年の必達目標に設定します。その効果は絶大です。主目的である収入源のマルチ化が図れることはもちろんスキル・経験のマルチ化も、人脈のマルチ化も図れます。(本書177pより)

この場合、こだわるのは金額の多寡でなく、経験の蓄積や人脈の拡大であり、0を1にしたことで生まれる自信だ。この成功体験を突破口として、仕事は広がっていくと考えれば、やってみない手はないだろう。

【今日の仕事に役立つ1冊】
『会社を辞めたいと思った時に読む セカンドキャリアの見つけ方』

木村勝著
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文/鈴木拓也 老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライター兼ボードゲーム制作者となる。趣味は神社仏閣・秘境巡りで、撮った映像をYouTube(Mystical Places in Japan)に掲載している。

 


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