「したいことは自分で決める」その思いが招いたアルコールへの依存

ダイエットのために次に手を出したのが、アルコールだった。茜さんの父親はアルコールの影響から肝臓を悪くしており、激やせしていた。病院で止められているのにも関わらず父親はお酒を止めることなく、後に肝硬変で亡くなってしまう。

当時の茜さんはお酒で痩せたという事実しか見えず、お酒が元々好きだったこともあり、夜食をアルコールに変えて、ダイエットに成功した。

「父はアルコール依存みたいなところがあって、それでも我を忘れて暴力とかをする人ではなく、楽しくお酒を飲むタイプだったので、私は父の横で一緒にお酒を楽しんでいました。父が飲むので、家にはいつもお酒がありましたから。

母と父はお酒のことでけっこうケンカをしていて、私もお酒が好きで飲むようになってから、母親と、父と私というような1対2の構図ができていたんです。何度かケンカを繰り返すと、母親は何を言ってもムダだと悟ったのか、何も言わなくなり、そこから母と私は家族ではなく同居している他人という状況になりました。

私はアルコールでダイエットに成功して、同じお店で働いていた人と結婚して家を出たんですが、離婚して戻るまでの間に父は亡くなってしまいました」

茜さんは結婚していた期間も太らないために夜はアルコールだけでお酒のアテは一切食べなかった。太りたくなかったからだ。夫は仕事が休みの日さえ一緒に夕食を食べることもできず、いくら茜さんに注意してもアルコールを止めないところからケンカが増えて、離婚に至ったという。

「結婚を機に別の店舗配属となり、休みの日を合せることができるようになったのに、夕食も一緒にせずに、お互いインドアだったこともあるけれど一緒に出かけることもほとんどしていません。新婚の頃は休みの日には私が晩ご飯を作って一緒に食べていた時期もあるんですけど、それで太ってしまって。最終的には自分が食べないのに相手の分だけ作るのが納得いかないようになり、相手も冷蔵庫の1段を占領していたアルコールの量に文句を言うようになって、終わりです。最後のほうは父親の入院など家のことがバタバタしていたこともあり、2人でゆっくり話すこともなく離婚となりました」

現在、茜さんは実家に戻り、母親との2人暮らしをしている。父の世話などで母親とは和解し、お酒の恐怖を父親から学んだことで、アルコール外来に通い、アルコール量などは落ち着いているという。しかし、現在は「美容医療にお金を使っている」とのこと。

依存傾向がある人は承認欲求が強いとされている。茜さんには幼少期からあった美への称賛や、しっかりするようにと育てられたことで芽生えた責任感の強さが、今の依存傾向と関係しているように感じた。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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